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フルメタル・ジャケット/ドンペリのコメント

rating33.8636

フルメタル・ジャケットへのコメント

採点

rating5

推薦数

+2

コメント

恐ろしさをこんな形で表現した監督の才能を認めないわけにはいかぬ。

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

ブラックだけれど、それは決して笑ってすまされない現実感を帯び、
「戦争ってイヤだね」という戦争批判より、このように人間を洗脳
してしまう「戦争とは恐ろしいもの」という意味合いが強いのですね。
ベトナム戦争の映画だが、その点からすれば世界共通とも言えますね。

どの戦争映画にもない本作のような見せ方で それをはっきりと感じ
させる監督は、やはり秀でていると思わないわけにはいかぬ。



太っちょの彼が、次第に壊れていく様を見ると、実は彼こそが一番
まともなのではないだろうかと思うのも あながち間違いではない
でしょう、と思う。それにしても彼の目が据わってくる演技は凄いね。

個々人の「人間の価値」など無視。ひたすら殺人マシーンになって
戦場で死ねばよい、と叩き込まれて戦場に立たされる。
そこには何のために戦うのかなどはどうでもよいのだ。

前半、彼らへの教育は「洗脳」である。
その怖さを容赦なくぶつけてくるこのテンポ(言葉も)は何なんだ。
あれだけ「ピー!用語」が嵐のように降ると、もはや言葉の下品さ
などは問題ではなくなり、ひとつの世界観のようなものが構築され、
少なくとも私は得も知れぬ緊張感を持って観ていた。

狂気とも思える兵士育成をし、そうして出来上がった兵士はと言えば、
自身に備わった狂気を頼りに、ヘリの上から、逃げ惑う女子供を容赦
なく撃ちまくる人間に変貌しているのだ。それを見ながら「女子供も
撃っているのか〜?(というような言葉で)」とヘラヘラ言う兵士が
いるという具合である。いよいよ戦地に向かうヘリの中のこのシーン
は ほんとうに恐ろしくてたまらないわい。

本作、前半でかなり満腹になるが、戦地に行ってからもシンプルかつ
ストレートで、とても興味深かった。
その後半のベトナムでの戦争シーンは、一見しょぼい。
戦争映画は、あまたの敵との激しい銃撃シーンや 兵士が束で死んでいく
シーンで、戦争の惨さを表現するのがお決まりであり、私達は知らぬ間に
それが当たり前になってしまっているのである。
ところが、本作の一見しょぼい(規模の小さい)ように見える戦闘シーンは
戦闘シーンと言えるかどうか首をひねる演出でありながら、どんなタイプの
戦争映画よりリアルであり、死と隣り合わせにいる恐怖の瞬間を鋭く描いて
いるではないか。サスペンス、ホラー映画の匂いもする。巧いな〜と思う。
たった独りの少女の兵士の前に 一人、また一人、とやられていくこのシーン。
これが戦争か?と思うように出来ているのだ。これが凄いのだ。
そして応援の戦車を頼んでも、来やしない・・・・。
彼らは何のためにそこに居たの? 画面にはそんな虚しさが漂っている。

そして♪ミッキマウス!ミッキマウス!♪と唄うに至っては、
「これじゃ狂っちゃうわ、彼ら」です。

戦争終了後、まともな神経でいられる方がおかしい、
と、これを観れば
誰もが思うでしょう。

・・・・・・「だから戦争は、死ぬより恐ろしいのだよ」と言っているようだ。

評者

ドンペリ

更新日時

2007年11月27日 21時50分

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