リュック・ベッソン脚本というと、どうもあんまり大した映画でないというイメージがあるのですが、これはまずまずです。
自分が運転する車で起こした事故のせいで、妻を亡くしたラサール警部(ジャック・ガンブラン)は半ば自暴自棄の生活を送っています。ある日、娼婦のバラバラ殺人事件を担当することになった彼は、直感的にこれが異常者による殺人を偽装したものであり、犯人はその部屋にあった盲目のピアノの調教師であるナルヴィク(ランベール・ウィルソン)であると目星を付けます。ナルヴィクは、実は、元アフガンに派遣されていた特殊部隊出身で、負傷して視力を失ったのでした。お互いに心に傷を持つ同士、二人はどこか心惹かれるものがあるのでした。
どちらかと言うと、アクション映画としてはありふれた物語のこの映画の魅力は、まずブルーで統一された画面の色調、いかにも生きているのが嫌だという雰囲気を漂わせているジャック・ガンブラン、そして妻にはなついていても彼にはなついていない犬の存在、ラサール警部を慕っていながら(ナルヴィクが彼女の香水からそれを指摘するのですが)それを表面に出さない同僚のエロイーズ(ラファエル・アゴゲ)の存在など、彼の周囲の設定の気配り具合です。最後が、妙にベタベタした結果にならないのも、好感が持てます。
傑作とか言うレベルでは全然ないのですが、映画というものの一つの楽しみ方を与えてくれます。
2017年07月17日 17時26分
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