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血と怒りの河/hackerのコメント

rating44.0000

血と怒りの河へのコメント

採点

rating4

コメント

メキシコ強盗団に育てられた白人の青年アズールのアイデンティティ探しを中心に据えた異色西部劇ですが、とにかく『偉大なるアンバーソン家』のカメラマン、スタンリー・コルテスの映像が素晴らしい。

レビュー

『偉大なるアンバーソン家』(1942年)は、監督のオーソン・ウェルズ自らが「『市民ケーン』(1941年)をしのぐ作品になったはずだ」と述懐している映画です。これが、結果的にはズタズタに編集された形で公開され、オースン・ウェルズが意図した姿はもう観ることができません。しかしそれでも素晴らしい作品であることは否定できなくて、特にその映像美は、映画ファンならば忘れられないものです。

実は、その映画で撮影を担当したスタンリー・コルテスが、本作でもカメラマンを務めていて、とにかく、そのテクニカラーの映像の美しいことには驚きます。特に、アメリカ西部劇の伝統である空の青さの見事さときたら!本作はそれを観るだけで、満足できてしまう出来栄えです。

物語の方ですが、これもなかなか凝っています。1846年から二年続いた、テキサスの所有権をめぐるアメリカとメキシコの戦争の間に、メキシコ人に両親を殺されながらも、メキシコ人の盗賊(革命軍を標榜はしていますが)オルテガに息子同然に育てられたアズール(テレンス・スタンプ)が主人公です。アズールとはスペイン語でブルーの意味で、金髪碧眼の彼にはぴったりの名前でした。

ところが、アメリカの独立記念日に、オルテガの一味は国境の河(名前は出ていませんが、リオ・グランデ河でしょう)を渡って、記念日を祝っている開拓者たちから強奪を行います。その際、アズールはアメリカ人女性ジョアンナ(ジョアナ・ペティット)をレイプしようとした仲間を射殺してしまいます。彼自身も、メキシコに戻る途中で反撃に出た開拓者に撃たれ、重傷を負います。そんな彼を救い、かくまったのは、ジョアンナと彼女の父親であるドク(カール・マルデン)でした。しかし、傷が癒えてみると、自分のアイデンティティは何なのか、アズール=ブルーは悩むのでした。一方、自分を救い、結果的にメキシコに帰れなくなってしまったブルーに、ジョアンナは心惹かれていきます。そんなある日、オルテガがブルーに会いに来たのでした...

この映画を観ていても、トランプの発言を聞いていても感じるのは、南北戦争もそうですが、戦争で煽り立てられた敵対者への憎悪は、なかなか消えないということです。また、主人公の苦悩は、中国残留孤児のことを連想させますが、戦争が起こすシチュエーションとしては珍しくないのだろうと思います。はたして、ブルーはどちらに属することを選ぶのでしょうか。

本作の監督シルビオ・ナリッツァーノは、ヴァネッサ・レッドグレーヴの妹リン・レッドグレーヴが主演した『ジョージーガール』(1967年)ぐらいしか観ていませんが、手堅い演出で、誰がどこで撃ち合っているのか分からないような場面は一つもありません。昔は、それが当たり前だったのですが...

実は、本作は今回が初見で、ほとんど知られていませんが、個人的には結構気に入りました。

評者

hacker

更新日時

2016年10月16日 14時05分

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2021年12月04日 02時09
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