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ゾンビ・リミット/hackerのコメント

rating44.0000

ゾンビ・リミットへのコメント

採点

rating4

コメント

異色のシリアスなゾンビ映画

レビュー

ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が登場してからほぼ半世紀、過去の設定を活かしつつ、ここまで寓話性に富んだシリアスな作品が登場したことに、一種の感慨をおぼえます。本作の設定は次のようなものです。

ゾンビ・ウィルスが大流行し、全世界で一億人以上が犠牲になった後、ウィルスの活動を抑えるタンパク質が開発されます。その結果、ゾンビ・ウィルスに感染した人間も、早期にそれを投与すれば、発病しないで済む、つまりゾンビ化を阻止できるようになります。彼らは「リターンド」と呼ばれ、回復後も一日一回はこの薬を注射しなければなりません。ところが、この薬の原材料はゾンビの死体から採取するしかなく、ゾンビの数が減るということは、薬の原材料が減るという問題があります。この状況を背景に、健常人と隔離すべしというリターンドへの差別が広がっているのでした。そして、次第に薬のストックが少なくなっていきます。その一方で、科学者たちは、ゾンビの死体から採れるタンパク質と同じものを合成できるよう、必死に研究しているのでした。

本作の主人公ケイト(エミリー・ハンプシャー)はリターンドを扱う医師で、パートナーのアレックス(クリス・ホールデン=リード)もリターンドです。ケイトは、薬の在庫が少なくなりつつあることを知っていて、同僚から秘密で薬を買い取ったりしています。

そのうちに、薬の入庫も途絶えるようになり、政府はリターンドを隔離する政策をとります。また、ケイトのいる病院も黒覆面の男たちに襲われ、リターンド病棟の患者が子供も含めて皆殺しにされるという事件が起こります。その際、リターンドの住所録も奪われ、アレックスは自宅で襲われます。なんとか相手を返り討ちにしますが、自宅も安全でないということで、アレックスの親友ジェイコブ(ショーン・ドイル)の別荘に薬のストックを持って、移り住むのですが...

お分かりのように、愛する人がゾンビになった時に相手を殺せるのか、というゾンビ映画で繰り返し取り上げられたテーマが中心の作品です。それと同時に、「普通の人」でない人間への差別という、どの人間社会でも存在する問題が取り上げられています。リターンド病棟の患者が皆殺しにされるというのは、いうまでもなく先日日本で起こった事件を思い起こさせます。

また、薬を闇で手に入れるということは、他人の薬を奪うことであり、他人の命を削って自分が生き延びることだとアレックスが述懐しているのは、限られた資源や富をどう分配するのかという問題を提起しているようです。

このように、様々な寓意性に富んだ作品です。映画の結末に意外性はあまりないのですが、ゾンビ映画にこういうヴァリエーションが登場したことに驚くとともに、なぜゾンビ映画が世界的に受け入れられたかを教えてくれる作品でもありました。

評者

hacker

更新日時

2016年10月09日 08時16分

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2021年11月28日 08時51
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