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3時間が長くない。美しい映画だと思いました。
このレビューは物語の核心部分が明かされています。
ルーズなヘアースタイルで、口は半開き、やる気のなさそうな表情のアデルの姿は、自分が何者なのか、悩んでいた現れのよう。厳しく言えば、演技は粗削りの部分もあるけれど新鮮で、彼女も映画も美しいから観ていられる。3時間も長いと感じなかった。ニクイですね〜。アデル役のアデル・エグザルコプロス、これからが楽しみです。
異性を愛することが出来ないという違和感は、生きる上で苦しいものなのだろうな〜と、アデルを見て改めて同情に似たものを感じた。そしてエマに出会ってから、必死でエマに尽くす彼女の姿も、やがて捨てられるだろうことは予測出来るだけに切なかった。エマとの幸せな生活なはずが、アデルのあまり幸せそうでない表情作り(心では幸せを感じていたはずだが)が、いかにもおフランスの匂いがする。
鑑賞後に感じたことだが、アデルは自分がゲイ(同性愛者)であることを確信するまでの過程も思いのほか丁寧に描かれていたように思う。はしょってレズビアン同志の生活が始まったのでは面白くない。
相手役のレア・セドゥ(彼女、フランス映画界のサラブレッドなのですね〜)がとても魅力的だった。横断歩道でアデルとすれ違った時の素敵なこと・・・私はレズではありませんが、このシーンは脳裏に焼き付いています。 彼女の演技はレズ役だからと気負っていなく、ごく自然で、尽くしタイプのアデルの魅力を充分引き出してくれたことは言うまでもないでしょう。
二人の堂々としたセックスシーンも、たいしたものだ。
クローズアップが多くて気になりましたが、監督の「この子、どうです? 美しいでしょう?」というアピールのようなそのアップは、チャン・イーモウがチャン・ツィイーの初主演映画「初恋のきた道」を撮った時を思い出しました。チャン・ツィイーの時は「この子、どうです? 可愛いでしょう?」のアップ連発だったと記憶していますもの〜。
出会いと別れは男女の愛でも同じことだけれど、自分がゲイではないかと迷える人にとって、本作は辛い部分もあるのだろうな〜。劇中で語っていたように、自分に合ったゲイの相手を探すのは異性を探すより大変なのですからね。 私には「頑張れよ、アデル」というラストシーンでした。
2015.2月 鑑賞
2015年04月10日 13時08分
読んで楽しい |
2015-04-13 hacker |