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オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ/hackerのコメント

rating44.0000

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴへのコメント

採点

rating5

コメント

ジム・ジャームッシュにはアナログと廃墟が似合う。

レビュー

世の中には吸血鬼映画は数あれど、カップルの吸血鬼というと『ハンガー』のカトリーヌ・ドヌーヴとデイヴィッド・ボウイを思い出しますが、正式の(?)夫婦の正統派吸血鬼というのは珍しいですね。

現代に生きる吸血鬼たちは、ゾンビ(要するに人間のこと)に生活の場を次第に奪われ、また汚染された血を飲むと病気になってしまうので、病院から闇で汚染されていない血液を買って、ひっそりと暮らしています。デトロイトに住むアダム(トム・ヒルドストン)は、ライブも一切やらない顔の知られていないミュージシャンとして生活費を得ていて、その妻イヴ(ティルダ・スウィントン)はモロッコのタンジールで、かってシェイクスピアだった吸血鬼(ジョン・ハート)とその腹心の部下から血をわけてもらっています。

ある日、i-phoneでアダムと話をしたイヴは、長く生きてきた彼の厭世的雰囲気をさとり、危険をおかして(何せ夜間のフライトしか乗れないのです)、デトロイトに行きます。実際、アダムは木製の銃弾(心臓を木の杭で打つ代わりです)を作り、自殺を考えていたのでした。


この映画の素晴らしさは、アダムの徹底的な古い楽器へのこだわり、CDなど聞かず、レコードばかりのアナログ音楽へのこだわり、そしてまた、かって繁栄したものの今や廃墟だらけの町デトロイや、不思議なことにどこか同じ雰囲気を持つタンジールの夜を徘徊する、数百年生きている吸血鬼たちが醸し出す、失われたものへの愛情です。

その中には、イギリス文学も含まれていて、音楽でも小説でも、古典というものに対するジャームッシュの愛情と尊敬が全編に溢れています。

だからと言って、新しいものが駄目だというわけではなく、ラストで生きていく気力を失った二人が、レバノン人の歌手の素晴らしい歌に癒され、再び生きることを決意する場面に象徴されるように、いつの時代でも本物が存在することも、きちんと語っています。しかし、そういう本物になるには、古典を知る必要があるわけで、そういう個人的心情の露呈が、とても印象的です。

ジャームッシュの映画は、傑作というような称賛はしにくいのですが、とても好きです。

評者

hacker

更新日時

2014年01月26日 13時42分

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