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やくざ絶唱/hackerのコメント

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やくざ絶唱へのコメント

採点

rating4

推薦数

+2

コメント

勝新太郎と大谷直子が相思相愛の異父兄妹を演じる、増村保造の知られざる傑作

レビュー

ヤクザ組織の幹部、立松実(勝新太郎)と、その腹違いの妹で高校三年生のあかね(大谷直子)、この相思相愛の異父兄妹の絶対に成就しない愛を描いた、この作品は、増村保造監督としては、私の好きな作品です。

自分に近づこうとする男には暴力をふるい、家では情婦(太地喜和子)に粗雑にふるまう兄に、あかねは嫌悪を感じてはいるものの、妾をしていた母親の相手の男から認知も金銭的援助も受けられなかったため、兄がやヤクザの道を選ばざるを得なかったことも理解しており、複雑な感情を抱いていることが、最初のいくつかの場面での会話で、観客にも理解できます。兄が自分に見せる溺愛に危機感を感じるものの、兄に嫌われるために、わざと他の男に身を任せたりする姿には、この二人が相思相愛であることが見てとれます。

中盤は、兄は妹を忘れようとしわざと他の組のヤクザとつまらない喧嘩をして逮捕され、妹は兄を忘れようとして家出をし、お互いに会わないでいようとする姿と葛藤が描かれます。

最後は、妹が「私はお兄ちゃんが好き。一生一緒に暮らしても良いと思ってる。だけど、あたしたち兄妹なのよ。どうしようもないじゃない」と言って、兄を殺して、自分も死のうとします。妹のその言葉に満足して、兄は死地に赴きます。そして、抗争相手のヤクザを射殺した後、死んだ相手に向かって、弾丸を撃ち尽くし、当然のように、相手の仲間に射殺されるのです。ラスト・カットは血まみれの兄の体、その姿が切ないです。

社会的制約に縛られて、結びつくことのない男女の愛を描くのは、加藤泰監督作品の特徴ですが、本作のような絶望的な愛の姿は、日本映画としては珍しい作品でしょう。

俳優に関して言うと、勝新太郎はいつものカツシンらしいですが、当時20歳の大谷直子が美しく、その鋭い視線が同じ監督の後年の『曽根崎心中』の梶芽衣子のそれを思い起こさせて、印象的です。脇役陣では、勝新太郎の情婦を演じる太地喜和子が、兄妹の関係を罵る場面など、抜群にうまいです。

こういう作品が埋もれてしまわないよう、もっとたくさんの人に観てもらいたいものです。

評者

hacker

更新日時

2013年06月09日 20時47分

コメントの推薦

参考になる 2015-08-07
 
参考になる 考えたら、勝新は座頭市しか見たことがありませんで、これは一度観てみたいです。この頃の大谷直子、太地喜和子も見たいものです。 2013-06-10
ドンペリ
2021年12月08日 07時41
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