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ゾンビランド/hackerのコメント

rating44.0000

ゾンビランドへのコメント

採点

rating4

推薦数

+1

コメント

ゾンビ映画も、ここまで来ましたか。

レビュー

世界中で何本作られたか分からない、現在のゾンビものの原型は、『地球最後の男』(1964年)であることは定説になっている、と言って良いでしょう。この作品は、原因不明の伝染病が流行り、死亡した者は吸血鬼となってよみがえる、という設定で、吸血鬼であるが故に、十字架やニンニクを嫌う、といった点はありますが、ジョージ・A・ロメロが『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(1968年)で確定させた、現在ゾンビものの「約束事」の原型は、すべて存在する、と言えます。

映画『地球最後の男』の大きな特徴は、主人公のキリスト教倫理観が色濃く出ている点で、火葬を忌み嫌うのが、その典型です。つまり、死者の復活というのは、キリスト教の最も根源的な部分で、火葬してしまえば、その可能性がなくなってしまう訳です。こう考えると、西欧キリスト教文化圏の人たちにとって、ゾンビ物の怖さの本質というのは、死者の復活の結果、邪悪極まりないものが現れるという点にあるのだ、ということが理解できます。その怖さ故に、これだけ世界中で、人気を集めたのではないでしょうか。

しかし、死者の復活というコンセプトにも飽きがきたのか、あるいは、何故どんな死人も歯と顎は丈夫なのか、という重大な疑問に対する答えが見つからなかったのか、『バイオハザード』シリーズや『28日後』(2002年)のように、未知の伝染病により、人間や動物がゾンビ化する、というストーリー展開の方が一般的になってきました。『ゾンビランド』も、このパターンを踏襲していますが、その内容は、従来のホラーとは、一線を画しています。

何と、この作品の本質は、家族映画です。『28日後』にも、その萌芽はあったのですが、いかんせんホラーの要素が強すぎました。本作は、そこは抑えてあります。男二人と女二人(姉妹と称していますが、本当にそうかは分かりません)が、ゾンビ合衆国と化したアメリカでのサバイバルを通じて、「家族」としての絆を深めていく、という物語なのです。しかも、ロードムービーということで、実は『ペーパームーン』(1974年)を思い起こします。あの映画も、禁酒法時代(いわば無法時代)に見知らぬ者同士が最後は一緒に生きることを選ぶ、という物語でした。こういうロードムービーは、『スケアクロウ』(1973年)もそうでしたが、70年頃のヒッピーの熱狂も醒め、家族や故郷への回帰が再び取り上げられた時代の象徴でした。

ロメロのゾンビ3部作に代表されるような、血まみれで、絶望的な世界から、家族の絆を根底のテーマにした、このようなゾンビ映画が登場するとは…。これも時代の変化でしょう。テロと紛争の全世界的現象からの逃避という形で、家族を求め合う、という構図が背景にある、と思うのは考えすぎなのでしょうか。

しかし、この映画はゾンビものとしてのツボもしっかり押さえていて、特に、前半は結構怖がらせてくれます。それだけでなく、ゾンビものの本来持っているナンセンスさをおちょくる喜劇のセンスも相当なもので、ビル・マーレイをめぐる一連の展開は笑わせてくれます。それと、映画好きには嬉しい「目配せ」が色々あって、楽しめます。冒頭の「星条旗よ、永遠なれ」の歌を奏でるギターは、明らかに、『ウッドストック』のジミヘンでしたね。

歴史は繰り返すことを感じたと同時に、ゾンビ映画の一つの到達点として、意味深い作品です。

評者

hacker

更新日時

2011年04月26日 21時04分

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