みんなで作る映画データベース
  1. トップ
  2. 映画一覧
  3. SF・ファンタジー
  4. ファンタジー
  5. アリス・イン・ワンダーランド
  6. hackerのコメント

アリス・イン・ワンダーランド/hackerのコメント

rating33.0000

アリス・イン・ワンダーランドへのコメント

採点

rating3

推薦数

+2

コメント

アリスが亡父チャールズとして「再生」する物語。

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

まずお断りしておきますが、この作品は2Dで観ました。3D自体は1950年代からあって、基本的には怪獣映画向きの技術だと思っています。当時一番有名だった3D映画は『アマゾンの半魚人』でしょう。ただ、この技術は、普段眼鏡をかけている人間には、うっとおしいのですよね。眼も疲れ方も、ずっときついような気がします。50年代は短期の流行で終わってしまいましたが、さて、今回はどうでしょう。個人的には、はなはだネガティブです。

さて、肝心の映画の内容ですが、大人になったアリスがワンダーランドを再訪する、という発想が、まず面白いですね。もっとも、映画の出だしの方は、やたら追っかけっこばかりで、ティム・バートンもディズニーに取り込まれてしまったかと、いささか心配しながら観ていましたが、どうしてどうして、しっかり自分の世界観に巻き戻してくれているのには感心しました。

ティム・バートンの終生のテーマは、死者の復活=フランケンシュタインであることは、かなり知られていると思います。バットマン・シリーズの悪役たち、ジョーカー、ペンギン、キャット・ウーマンが、死のふちから這い上がって、別の人格になる、という共通点があることや、『チャーリーとチョコレート工場』の主人公が一度は世間との接触を絶って生活していたことや、登場人物を例に取ると、『スリーピー・ホロー』の首なし騎士、『シザーハンド』の未完成の人造人間を思い浮かべれば、ほとんど自明のように、私には思えます。それは、この作品にも継承されています。

一見、この映画は、アリスが自らのアイデンティティーを取り戻す物語のようにも思えますが、アリスが亡父チャールズとして再生する物語と捉える方が、個人的にはすっきりします。

映画の中で、確かマッド・ハッターだったと思いますが、最後に赤の女王が操るクリーチャーと戦う勇士(結局、アリスなのですが)をhim と呼ぶ時があります。アリスという名前は「高貴」を意味する古ドイツ語から来ているようですが、もちろん女性の名前です。実は、彼女の亡父の名前、チャールズも同じ古ドイツ語の「男」を意味する言葉から来ています。つまり、ある意味、女性が男性に性転換する物語とも解釈できるのです。映画のラスト近くで、再生したアリスが、求婚者に対して、I will not marry you (あなたとは結婚しない)ではなくて、I can not marry you (あなたとは結婚できない)と答えるのも、当然なのでしょう。

ドイツというと、アリスが倒したクリーチャーの血を飲むのは、ドイツの伝説である、倒したドラゴンの血を浴びることにより、不死身となるジークフリート物語の変形で、自分の内側=内面を不死身にする儀式と解釈して良いと思います。

最後ですが、3D映画ということもあって、ティム・バートンとしては、今回はCGを多用しています。しかし、最後にアリスとクリーチャーが戦う、古いギリシャ風宮殿跡は、正にレイ・ハリーハウゼンの世界で、彼が「過去」を忘れていないのが分かって、嬉しくなりました。

評者

hacker

更新日時

2010年07月08日 18時33分

コメントの推薦

素晴らしい洞察 2010-09-27
 
素晴らしい洞察 2010-09-10
 
2021年11月28日 11時38
2021年11月28日 11時38
©ずばぴたテック