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男はつらいよ 寅次郎相合傘/hackerのコメント

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男はつらいよ 寅次郎相合傘へのコメント

採点

rating4

コメント

「男はつらいよ」シリーズ最強、最愛のヒロイン、リリーの再登場。

レビュー

この年末、早稲田松竹さんが、このシリーズ最多登場を誇るリリーの3本立てという、実に粋なプログラマを組んでくれたので、久しぶりに、映画館に10時半から16時までいるという至福の時間を過ごすことができました。

このシリーズ、いわゆるマドンナ役で登場した女優は多々いますが、やはり、浅丘ルリ子演じるリリーの印象が圧倒的です。

理由として、まずは、彼女は寅さんと同じ流れ者であり、寅さんにとっても等身大の女性であること、つまり決して「マドンナ」ではない、という点です。次に、前回登場作『男はつらいよ 忘れな草』のラストで、寿司屋の女将さんにおさまったにもかかわらず、この作品では、離婚して、元のドサ周りのキャバレー歌手として再登場する彼女の生き様でしょう。

このシリーズというか、山田洋次監督の終生のテーマは家族なのですが、その裏側に垣間見えるものが、家族生活や普通の社会人生活が前提とする束縛とは無縁の自由への憧れであることも事実です。寅さんは、そういう自由をエンジョイしながらも、普通の社会人生活を営みたい、という望みも抱きながら、生きている訳ですが、リリーというヒロインには、一度そういう普通の生活に入りながらも、それを捨てて、元の生活を選ぶという凄みが感じられるのです。更に、寅さんには、柴又に妹さくらを初めとした家族が存在する訳ですが、リリーにはそういう者も存在しないのです。『男はつらいよ 忘れな草』でも、母親とのやり取りの場面はありましたが、それは二人の関係の冷たさだけが印象に残るものでした。

つまり、リリーというヒロインは、寅さんとは比較にならないくらい、腰の据わった「自由人」なのです。また、演じる浅丘ルリ子の素敵なこと!もちろん、とても美しい女性ではあるのですが、一見して分かる玄人の雰囲気といい、有名なメロン騒動の最後を締める啖呵といい、見事ですね。

そいう彼女が、自分のことを一番理解してくれる男性ということで、寅さんに惚れるわけですが、残念なことに、寅さんの方は、柴又での家族生活を時々体験していることもあって、彼女ほど「自由人」ではないのです。という訳で、お定まりの結末を迎えることになります。

総括すると、この作品は、自由への憧れというテーマが、通常より色濃く出ているのではないでしょうか。それは、映画の前半で、寅さんとリリーと一緒に旅をする、船越英二演じる蒸発サラリーマンの存在からも、明らかです。リリーの登場する作品が、シリーズの他の作品と違う、一種独特な印象を与えるのは、テーマの比重の差から来るものだと思います。

最後ですが、寅さんが「俺に金があったら」と言って、リリーを大劇場の舞台に立たせる夢を語る場面は、とても良いですね。このシリーズで、しばしば魅せてくれる渥美清の語りの中でも、ベストの一つかと思います。

評者

hacker

更新日時

2009年12月31日 11時29分

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2021年12月06日 19時58
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