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馬鹿が戦車でやって来る/hackerのコメント

rating33.0000

馬鹿が戦車でやって来るへのコメント

採点

rating3

コメント

「何、ふっくらふんとしているんだ」(劇中で使用される「方言」より)

レビュー

山田洋次監督の作品に共通しているのは、社会的弱者に対する暖かい眼差しです。『男はつらいよ・奮闘篇』でも、そういう存在である知的障害者を、しかし弱者としてではなく、対等の人間として接することの重要性を、30年以上も前に、さり気なく語っていたのが、とても印象的でした。この作品は、今にして思えば、山田洋次作品としては最初に、障害者が主要人物として登場する作品です。

舞台は、日本のどこか特定されない片田舎、したがって、冒頭にかかげたような「方言」も独特のもので、要するに、監督が作りあげたものなのです。主人公サブ(ハナ肇)の家族は、知的障害児の弟(大塚弘)と耳の不自由な母(飯田蝶子)で、それ故村八分にされ、何かといじめられている、という設定です。弟は、空飛ぶ鳥に憧れていて、それが最後には悲劇を呼ぶことになります。ところが、サブは少年戦車隊(そんなものがあったのか知りませんが)上がりで、自宅に戦車を隠し持っていました。ある日、堪忍袋の尾が切れたサブは、戦車を乗り回して、村中を暴れまくるのですが...。

「前にそんな童話を読んだことがあったんです。子供が象を見たくてサーカスに行ったら、小屋がなくなってしまって、象の足跡があったので、そのあとをずっと追ったら、その足跡が海岸に消えていて、汽船が遠くにポーッと浮いていたみたいな」(「世界の映画作家14」キネマ旬報社刊)

この山田洋次の言葉以上のことは、詳しく語りませんが、この映画は、こういう終り方をします。ですので、一種のおとぎ話のような印象も受けます。ですが、物語自体は明るいものではなく、少し「常人」と違うことによって受ける、いわれ無き差別に対する、静かなプロテストのようなものも感じられます。それがあるので、ラストで主人公たちが消えていってしまう様が、感動的なのでしょう。

しかし、山田洋次という人は、これから数十年経ったら、どういう評価をされるのでしょうか。これだけ、観客を感動させる映画を量産しておきながら、誰もが思い浮かべるのは、『男はつらいよ』シリーズであって、一本の作品ではありません。この作品も含めて、不器用な人々が精一杯生きようとする姿を描いた、初期の作品群は、もっと評価されてしかるべきだと思います。

評者

hacker

更新日時

2008年12月31日 15時58分

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2021年12月08日 02時19
2021年12月08日 02時19
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