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尼僧ヨアンナ/hackerのコメント

rating33.0000

尼僧ヨアンナへのコメント

採点

rating3

コメント

悪魔祓い(エクソシズム)を、恐らく最初に正面から取り上げた作品ですが、内容は壮絶な愛の物語です。

レビュー

原作のある映画なので、長い間ずっと、この物語は完全なるフィクションだと思っていました。しかし、初見から数十年経って、ケン・ラッセル監督の『肉体の悪魔』の原作『ルーダンの悪魔』を読んでみて、実は、この映画のヒロインは、ケン・ラッセルの映画で、悪魔に憑かれた人物(ヴァネッサ・レッドグレーヴが演じていました)と同一人物であり、このポーランド映画は、『肉体の悪魔』の後日談であることを知りました。そういう点で、史実に基づいた映画だったことを認識した次第です。ちなみに、原題の「天使のマザー・ヨアンナ」ですが、ヨアンナは、フランス人の名前としては、ジャンヌとなり、「天使のマザー・ジャンヌ」は、モデルとなった人物に、実際に付いていたニック・ネームです。マザーは、この場合、修道院長を意味します。

悪魔祓い(エクソシズム)の物語ではありますが、時代が時代ですし、派手なSFXなどはありません。悪魔に憑かれたヒロインが、壁に血の手形を残すのが、印象に残るぐらいでしょうか。それでも、悪魔が乗り移った時に、がらりと変わるヒロインの雰囲気を、メークと女優の演技力だけで見せてくれます。演じるルチーナ・ヴィエニエツカは、大きな瞳が印象的な、とてもきれいな女優で、それ故、尼僧のいでたちがとても良く似合います。この時期の、ポーランドを代表する女優の一人であったことは、日本公開された他の出演作『夜行列車』や『戦争の真の終り』からも、うかがえます。そう言えば、悲劇的な役が多かったですね。

この映画は、悪魔に憑かれる原因となった神父(『肉体の悪魔』におけるグランディエ神父)が火刑に処せられた後も、悪魔が離れないヨアンナの悪魔祓いにやって来たスリン神父の物語です。スリン神父(これも実在の人物)は、ヨアンナの悪魔祓いを必死で続け、ほとんど終日一緒に過ごしているうちに、彼女を愛するようになります。ある日、堪えきれずに、彼女に接吻するのですが、その途端、彼女にとり憑いていた悪魔が、彼の体内に移ってしまいます。自分の体内の悪魔を再び彼女に戻さないために、彼が選んだのは、悪魔の言うことを聞きつつ、自らの肉体を滅ぼす方策でした。そうして、彼女を解放するのです。

映画の中では、スリン神父とユダヤ教のラビが議論をしたり、キリスト教(ポーランドにはカソリック信者が多いのです)や、善と悪への考察もあるのですが、愛する者を救うために、自らを滅ぼせるか、という物語の中心軸が最も印象に残ります。ちなみに、史実では、精神がボロボロになったスリン神父は途中で交代させられ、最終的に「天使のマザー・ジャンヌ」が悪魔から解放されるのは、「憑依」から6年後のことで、この映画(若しくは小説)のラストは、完全にフィクションです。あえて語りませんが、衝撃的なものでした。

最後ですが、この映画を撮ったカワレロウィッチ監督は、一時期は、アンジェイ・ワイダと並んで、ポーランド映画の存在を世界に知らしめた存在でした。たとえて言えば、日本映画のクロサワ、ミゾグチのようなものです。黒白映画の時代の、夜を背景とした、物語展開が印象的でした。取り上げるテーマは重いですし、ワイダのような、けれん味たっぷりの絵作りと違う、地味で正攻法の作品が多かったせいか、今ではあまり語られることの多くない監督になってしまいましたが、他にも『影』や『夜行列車』などの佳作を残しています。機会があれば、触れてみたいと思います。

評者

hacker

更新日時

2008年12月29日 12時19分

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2021年11月29日 23時16
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