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瞼の母/hacker2のコメント

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瞼の母へのコメント

採点

rating4

推薦数

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コメント

「こうして上下の瞼を合せ、じいっと考えてりゃぁ、逢わねぇ昔のおっかさんの面影が出てくるんだ」

レビュー

加藤泰監督の股旅ものの傑作と言えば、間違いなく『沓掛時次郎・游侠一匹』(1966年)になりますが、本作は、同じ長谷川伸原作の、いわば露払いのような作品です。

幼いころに生き別れた、瞼の中に面影が残る母親を探し求める番場の忠太郎(中村錦之助)の物語は、後に『続・男はつらいよ』(1969年)でもモチーフとして使われたりして、かっては有名でしたが、股旅ものというジャンルの衰退とともに、現在の若い世代はほとんど知らないでしょう。

正直なところ、現在この映画を見直すと、主人公があまりに涙もろい点が、やや気になります。しかし、加藤泰監督のロー・アングルの画面構成(これは舞台を見あげる観客の視点を意識したのだろうと思っていますが)と、当時のカラー撮影の技術では難しかったのか、ややピントが甘いとはいえ、奥行きの深いパン・フォーカスとシネスコの横長の画面を存分に活かした1シーン=1カットの長廻しは、映画の美しさをいうものを堪能させてくれます。

殊に、主人公が三人の女性と演じる三つのシーン、実の母親おはま(木暮実千代)との対面シーン、盲目の三味線弾きの老婆(浪速千栄子)と雪降る江戸の橋の傍で会話を交わす場面、おはまの昔の知り合いで今では夜鷹に落ちぶれたおとら(沢村貞子)が、主人公におとらのことを話す酒場の場面、浪速千栄子と沢村貞子の演技もあって、本当に素晴らしい!

こういう、もう二度と撮られないであろうと思われる映画を観ていると、長い歴史の中で、映画が得たもの、映画が失ったものについて、つい思いをはせてしまいます。しかし、映画の美しさというのは、時代に関係なく永久に残るものだと思っています。

評者

hacker2

更新日時

2021年06月23日 09時33分

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