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アザーズ/dreamerのコメント

rating33.4706

アザーズへのコメント

採点

rating4

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+1

コメント

何を見せて、何を見せないのかという、恐怖映画の永遠のテーマに挑んだ、アレハンドロ・アメナーバル監督のゴシック・ホラーの野心作「アザーズ」

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

1945年、第二次世界大戦末期のイギリス ジャージー島。
出征した夫の帰りを待つグレース(ニコール・キッドマン)は、広大な屋敷で二人の子供と暮らしています。
子供たちは、極度の光アレルギーで、この屋敷の窓という窓にはいつも分厚いカーテンがかかっています。

ある日の朝、屋敷に三人の新しい使用人がやって来ます。
すると、その日を境に、数々の不可解な現象がグレース一家を襲い始めます------。

屋敷の中に見えない何物かが入り込んでいるのか?
そして、それは一体誰なのか?----というスリリングな展開になって来ます。

この映画「アザーズ」は、スプラッタ系やサイコ系のものとは違うタイプで、確かに死者の魂や幽霊といった宗教観は、IT全盛の現代においては、古臭いという感じは否めません。

そんな中、アレハンドロ・アメナーバル監督は、オールドスタイルのゴシック・ホラーに、恐怖演出の原点を見出し、古典への帰着を起点として、新たなゴシック・ホラーを創造しようと試みているかのようです。

誰もいない部屋から聞こえるピアノの音、不気味にはためく窓辺のカーテン、死者の写真、闇夜に浮かび上がる洋館といったような怪奇演出は、怪談文化をバックボーンに持つ日本人のセンスにも、すんなりと訴えかけて来て、しっくりと馴染むような気がします。

"何を見せて、何を見せないのか"------。
これは、恐怖映画の永遠のテーマであり、クリアすべき課題です。

アメナーバル監督は、サスペンス・スリラーの神様アルフレッド・ヒッチコック監督から多大な影響を受けたと語っていますが、ヒロインが見えない存在への恐怖へ侵食されていくという観点から、とりわけ、ヒッチコック監督の「レベッカ」の表現技法をかなり意識しているのではないかと思います。

そして、見えないものに息吹を与え、得体の知れない恐怖を生み出す事に成功していると思います。

更に、グレース・ケリーやジョーン・フォンテーンといったヒッチコック映画のヒロインを思わせる、ニコール・キッドマンのクール・ビューティぶりが、とても素晴らしく、情緒不安定なヒロインの錯綜する心理を見事に演じていて、この映画が醸し出す、恐怖とインパクトを増幅させていると思います。

そして、この映画の売りはやはり、衝撃のドンデン返しです。
しかし、この映画はスマートなストーリー・テリングを尊重しており、そのためには、途中で少しぐらいのヒントなら見せても構わないと考えているフシが感じられます。

もちろん、全ては緻密な計算に基づいていますし、そして、最後はとても哀れで悲しい物語として完結するように出来ています。

生者と死者の世界のあやふやな境界線に、深い思いを馳せずにはいられませんし、オチを知ってしまった今でも、もう一度観てみたいと思わせてくれる映画だと思います。

"光と暗闇の巧みなコントラスト"が、この映画を完璧な恐怖映画に仕立て上げていると思います。
この映画では、"暗闇はサスペンス、光はショック"を演出しています。

そして、暗闇は恐怖のあまり、真相が見えなくなっている事を象徴し、光は子供を殺し得る危険なもの、最後には視点を変える契機として、劇的な役割を果たしているのです。

評者

dreamer

更新日時

2021年05月15日 13時42分

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