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妖刀物語 花の吉原百人斬り/hackerのコメント

rating55.0000

妖刀物語 花の吉原百人斬りへのコメント

採点

rating5

推薦数

+2

コメント

とんでもない誤解を与えかねない題名だと思うのですが、「百人斬り」とは、本物の妖刀村正で、人を本当に斬ることを指しています。

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

吉原を舞台にした映画は多々ありますが、この作品は、その中でも白眉だと思います。更に、この時代の日本映画には珍しい、フランス映画お得意の「アムール・フー」(狂気の愛)を描いた傑作でもあります。それと同時に、主人公の辛さが、胸につきささる苦しい映画です。

時代は江戸時代、捨て子だった主人公佐野の次郎左衛門(片岡千恵蔵)は、主人に信頼される生真面目な商人ですが、顔に醜い痣があり、女性に相手にされません。悪友に連れられて行った吉原でも、遊女たちが気持ち悪がります。その中でただ一人、玉鶴(水谷良重、好演!)という若い女だけが主人公の顔を気にせず、相手を務めます。

「お前さん、私のこの痣が気にならないのかい?」「いいえ、心の中にまで痣があるわけではないでしょう」

何と嬉しい科白なのでしょう。こんなことを言われた主人公は彼女に夢中になります。ただ、彼女は岡場所(街娼)上がりで、誰でも相手にしてきたので、恐らく痣など気にならなかっただけなのでしょう。しかも上昇志向の強い女で、主人公と夫婦になる約束を交わした上で、徹底的に貢がせます。この辺は、ルーチーンの物語展開なのですが、自分の美しさでのし上がってやるという女の意気込みと、誰にも愛されたことのない男が初めて得た「愛情」に夢中になる様が、観客の胸に何とも言えない悲しさを抱かせます。それは、二人とも「親に捨てられた」子供であり、社会の底辺から出発したという共通点を持っているからなのでしょう。

ラストは、二代目八つ橋を襲名した玉鶴の出世披露の行列の中に、騙されたと知った主人公が、捨てられた時に身に付けていた、妖刀村正を振り回し、斬りこむ姿が描かれるのですが、その殺陣が実にリアルです。そして、「これでお前はわしの女房だ」と叫んで、八橋を手にかけるのです。何と悲しいこと...

最後ですが、この作品を久しぶりに思い出したのは、『さくらん』で土屋アンナが、やはり出世披露をする際に、高下駄で行う独特の足さばきが、この映画ではもっときっちり描かれていたからです。しかし、水谷良重の軽く、リズミカルな足さばきは見事でした。それに比べると、と言っても、これは素養の問題なので、ほぼ40年前の素養を現代に求めるのは、そもそも無理なのでしょうね。

そういう意味で、この作品も、もう二度と似たようなラストは作られないであろう映画の一本です。

注:再見の機会がありましたので、一部記憶違いを訂正し、採点も上げました。

評者

hacker

更新日時

2008年12月16日 14時47分

コメントの推薦

参考になる わあ、片岡千恵蔵がこのような役とは、珍しいですよね〜。この年ですと東映時代ですね〜。 とても興味があります。 2008-05-23
ドンペリ
参考になる 2008-05-19
 
2022年10月02日 09時10
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