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ヘアスプレー/カトキチのコメント

rating44.2500

ヘアスプレーへのコメント

採点

rating5

推薦数

+4

コメント

趣味嗜好は別にしても、今年では1番良く出来た作品だろう。簡単に言うと『ハッピーフィート』の人間版。

レビュー

ジョン・ウォーターズのオリジナルは未見で、その元になってる舞台版もまったく知らないので、あんまり勝手な事は言えないのだが、とにかく娯楽度としても思想としてもほぼ完璧に近い作品で、まさに好き嫌いは別にしても、めちゃくちゃ良く出来てる映画であった。

アメリカは自由の国とか言いながらも非常に保守的であるのは『イージー・ライダー』とかを観れば明らかなんだけど、この『ヘアスプレー』の舞台になったボルチモアもそういう場所で、時代が変わって行く事を受け入れようとしない。そのボルチモアのローカルTV局の番組に1人の女の子がオーディションを受けるところから物語が始まる。

ジョン・ウォーターズの映画はそうなんだけど、人とは違うという事を個性として特出する。それがニワトリを犯そうと、ゴミを分別しない人を殺そうと、バカな写真を撮り続ける男だろうと、なんか映画の中ではヒーローになったりするのが特徴で、それが差別な偏見に対する理想のメタファーっぽくなる。

『ヘアスプレー』ではそれが露骨には現れないが(オリジナルではもっとすごいのかも)露出狂が出て来たり(あの露出狂ってジョンウォーターズだよね)デブな女とバカなおもちゃしか愛せない男が出て来たり、黒人やデブなヤツが当たり前の人間として出てくる。むしろ、それがかっこいい基準になっていて、人と違うという事を惨めに思うな!というメッセージになっている。

さらに『ヘアスプレー』は一般人が持つ偏見だけでなく、差別に対してもNOと言う。まず、デブでチビの女の子を主人公にするというところが何よりも素晴しい。基本的にアメリカ(というかハリウッドは)1つ武器があればウェルカムなところだったりして、ジャッキーだって、まともに英語喋れてないらしいけど、彼にはアクションという個性があるからハリウッドスターになれた。

『ヘアスプレー』の主人公はデブでチビなんだけど(これもその内差別用語とかになるのか?)歌と踊りが大得意で、その武器1つで人気者になっていく。

実は『ヘアスプレー』は60年代が舞台なっていて、まだアメリカに差別が根付いた時代を取り上げる。実際アメリカは奴隷解放をしてもその後、人種差別は徹底して行なわれ、映画の中にも出てくるように白人と黒人を差別どころか区別し、きっちり分けていた。体育館でダンスするシーンでも白人ゾーンと黒人ゾーンがあって、黒人ゾーンに入ろうとする主人公を黒人の友達が止めるというシーンが出てくる。

私世代になるとそういう事っていうのは映画や芸術、TVで取り上げられない限り知る事はないし(あと興味を持たない限りは)娯楽映画でそういうのをウソなくやるというのは、今の時代だからこそ出来るのかもしれないので、そういう事はたくさんやっていただきたい。しかも説教臭くないのも実にいい。

思想だけでなく『ヘアスプレー』は娯楽映画としても一級品だ。まず、歌だが、主人公が冒頭から唄う歌にノックアウトされた。正直勉強不足なのでどういう経緯で作られた曲なのかよく分からないが、間違いなく、ウォール・オブ・サウンドを意識した楽曲である。そして、その後に出てくるのはレイチャールズを意識した古き良きR&B、この2曲で作品の方向性や思想が分かる。

さらに役者だが、なんと言ってもジョン・トラボルタだ。彼は作品選びがドヘタクソでここ近年は作品に恵まれず、『パルプ・フィクション』と『フェイスオフ』で築きあげたキャリアをズタズタにしてたが、やっとここに来て、ドンピシャな作品に巡り会えたと言っていいだろう。『パルプ・フィクション』ほどではないが、彼のダンスも久々に観た。

他にもミュージカルシーンや映像について、書く事は山ほどあるんだけど、それは他の人が書くと思うので、大胆にも割愛させていただく。思想的にも娯楽度も満点の『ヘアスプレー』は本年度一番人気になる可能性が大(ヒットという意味ではなくて)ただ、これを良いというと、私のキャラにあわないんだよねぇ(笑)

評者

カトキチ

更新日時

2007年10月23日 17時15分

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