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母たちの村/ドンペリのコメント

rating55.0000

母たちの村へのコメント

採点

rating5

推薦数

+1

コメント

同じ地球上でも、まだこんなことが・・・・

『祈りをこめて星いつつ』

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

舞台は西アフリカの小さな村。未だ慣習として残っている儀式・女子割礼に母親達が反対した物語。

テーマはこのように重いものですが、
映画は アフリカの小さな村が舞台だけあって、全体にのんびりしたタッチで、
深刻に成り過ぎないように描いてあります。
まさか割礼場面を如実に現すわけでもなく、あくまでも母親達が立ち上がるまでの流れなので、
ラストに「やったね!」と安堵する。
彼女達のアフリカの生活風景がとても細やかに描かれていて興味深い。
女達のまとう衣装の色鮮やかさは 元気が出てくるし、
全体に明るい映像で、描き方もジメジメしていないのである。
それらが映画としての形をなし(ドキュメンタリーではない)、救われるのでした。




「割礼から逃げて自分の元に保護を求めてきた女の子達を守り抜いたコレ(女性の名)」
を主人公に描き、世界に発信した。

3年の歳月を要し、映画にすることで問題提起をした監督の勇気に感動。
しかしながら何よりその事実には 驚きを隠せませんでした。

ここで言う女子割礼とは 書くのも辛い‘女性性器切除(FGM)’なのです。考えられますか?
女の子たちがある年齢に達したら受けなければならない儀式なのだ。
主としてはアフリカ地域に多いようだが(他の国でも存続しているらしい)今でも残っている慣習である。

不衛生な環境の中、もちろん麻酔などなく、簡単なナイフ程度のもので、
想像の範囲を超える激痛に泣き叫ぶ少女を押さえつけてその慣習を敢行する。
それは時に出血多量で当然の如くショック死を招くこともあれば、結婚後自然分娩が出来なくなったり、
生まれてくる赤ちゃんは死産だったり、夫との性行為は一生激しい痛みを伴うなど、
多くの女たちは後遺症と共に生きているのだ。
コレ(←一夫多妻制なので第二夫人である)が夫との性行為の際中、
あまりの痛みを耐え抜くために自分の小指を食いちぎれそうになるほど噛んで耐えるのだ。

このように耳を目を覆いたくなる話なのです・・・・書くだけで涙が溢れそうになります。
世界のどこかでこのような辛い目にあっている女性達がいるなんて・・・。

割礼をしない女は不浄であり、嫁に『もらわれない』と決め付けられているため、
母親達も我が娘を進んでその割礼の儀式に差し出すのだ。なんたること!

歴史を紐解いても、このような女性性器切除などという儀式に宗教的な由来はないという。

単に継続されてきた男社会の象徴であり、男の都合のみの世界が
こんな愚かな形で何千年も受け継がれてきたとは、驚き以上に怒りも込み上げてくる。
この慣習には 百歩譲っても何一つ良いことなどない! さあ、筆に力が入ってきたわ!
これほどまでの女性蔑視、女性の地位低下の事実があるでしょうか。
いや、男とか女とか関係ない。人間としての尊厳を奪うものです。
これなら動物のメスに生まれた方がよっぽどマシだ。

その土地に長い間続いてきた慣習・風習は
そのままその民族の歴史であり、価値あるものとして継承されるべきものもあるでしょう。
外部の者が介入すべき問題ではないかも知れない、という思いがまず首をもたげる。
だがしかし、このFGMの慣習事実を知れば
「あなたは黙っていられますか・・?」というところに、どうしても落ち着く。


ひたすら痛みに耐えてきたこの女達は 「こういうものだ」と当たり前に受け継がれてきたため
何の疑問も持たなかったのだ。無知とは時に恐ろしい。
自分と同じ痛い目に合わせる為に、可愛い娘を差し出すことが出来ようか!?
そうしなければ生きていけないからだ・・・。

村長は 女達が外の世界から情報を得ることを恐れ(知恵が付いては困るということなのです)
女達が唯一楽しみにしているラジオを没収するのです。



この地方には「モーラーデ」という、人が保護を求めてきたら守り抜いてあげるという風習がある。
求められた方はモーラーデを慣行しないと罰があたるという言い伝えである。

ある日 4人の少女達がコレのもとに割礼儀式から逃げて救いを求めてやってきたので、
コレは「モーラーデ」を開始、縄を張って彼女達の保護をする。

コレ自身、割礼手術の後遺症を未だに引きずっており、また我が子も死産で失っている。
今いるコレの娘には、頑として割礼手術を拒否し受けさせていない強い母親なのだ。
村で割礼手術を受けていない年頃の女子は コレの娘ただ一人なのだ。
コレに保護を頼んできた4人の少女達は「私達もイヤだ」とコレにすがりつく・・・・。
4人の少女達に追っ手(と言っても小さな村だが)がくるが
「モーラーデなのよ!」と皆を寄せ付けない。
それでもその少女達の母親達は 自分の娘達に割礼を受けさせるために連れ戻しに来る。
小さな村は騒然となり、村長らの話し合いが持たれ、コレは孤立し、リンチのようなことも受けるが
コレはひるまない。彼女の強い信念が次第に村中の母親達の心を動かし、団結。
村長以下男たちに向かって「NO!」と言うのだ。


高齢の監督が これだけは世に伝えたいという強い思いが伺える。

長い慣習を即座に廃絶することは容易なことではないだろう。
まずは事実を開示することで 一歩づつ前進することを祈る。
直接何がしてあげられるわけでもない私達は 虚しくもある。



昨年岩波ホールで鑑賞・・・。
その後、色々なところで自主上映がされているようだ。


*FGM=Female Genital Mutilation

評者

ドンペリ

更新日時

2007年03月07日 00時25分

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