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夜よ、こんにちは/ドンペリのコメント

rating44.0000

夜よ、こんにちはへのコメント

採点

rating4

推薦数

+1

コメント

テロ事件を追う映画ではなかった・・・したがってバイオレンス映画ではない。
テログループのメンバーと誘拐監禁された首相の‘心のうち’を見せていき、そこに人間らしさを覗かせる映画だ。

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

ヒトコトで言うと、映画としてなかなか良い出来だと思う。


テロ行為は肯定出来るものではないが 彼らの「迷い、一抹の後悔、悩み」のような心の揺れを描くことで
「旅団」糾弾の映画になっていないことは確かである。

恐らく知る人は少ないであろうと思われる(私は知らなかったが)事件、
1978年イタリアのテログループ「赤い旅団」によるモロ首相誘拐殺人事件が基になっている。
が、テロ事件を追う映画ではない・・・。
「旅団」がモロ首相を誘拐しアパートに監禁してからは 見事な脚本によるフィクションになっている。

アパートの室内が中心となり、密室サスペンス劇のようでもある。

その題材とは裏腹に、「映画らしい映画」に仕上げてあり、全体にまとまりが良くとても魅力的な作品だった。
何気ない映像のようでいて、構図や光の具合などに目を見張る部分も多かった。特に暗がりがいい。
鑑賞後「どうしてこんな(賛辞の意)映画‘に’出来るのだろう」と実力が伺える監督に惹かれた。
・・・本作を登録したら このマルコ・ベロッキオ監督作品としては『肉体の悪魔』が登録されていたが
それは単なるエロティック映画ではないのだろうと予想出来る。そんな印象をこの監督に抱いた。




本作は
登場する「旅団」4人のうち、ただ一人の女性であるキアラの視点で進んでいく。
キアラの目でモロ首相をみていく。
「キアラが、モロ首相を監禁している部屋のドアの小さな丸い覗き穴(窓)からモロ首相を覗いて見る」
という動作を映すことで、‘キアラの視点’を直球で表現しているのだとも言える。
何故なら室内での彼女は食事係りだが 食事をモロ首相に運ぶのは男たちだけ。
男たちはいちいち覆面をして監禁室に入るのだ。
彼女はモロ首相の部屋には入れないが、首相に関心があり、
その小さな覗き窓からモロ首相を見て、感じとっていき、
彼女の心の揺れが観客に巧みに投影されていくようなのだ。いや、それはモロ首相にも投影され、
二人(キアラと首相)の間に徐々に心の変化が起きていく様子を 緊張感を持って描いていく。
巧妙な演出が随所に見られ、見ていて飽きないどころか私はグイグイ引きこまれていった。

彼らはモロ首相に、「ローマ法王」に手紙を書くよう懇願するが思うように事が運ばない。
ここで私達は、誰よりも何よりも「ローマ法王」が最高の権威を保持している事実を改めて思い知るのだが。

キアラ役のマヤ・サンサも良いが、モロ首相役のロベルト・ヘルリッカが深い演技で、惹かれる。


☆もしご覧になろうという方がいらしたらコレ以後は読まないほうが新鮮かと思います☆

社会変革という信念で活動をする「旅団」の一員であるキアラは
昼は一般人として図書館勤めをして社会に潜り込んでいるのだが、
自分達の行為を知った世論では 「旅団」が思いのほか支持されていないことを知り、
信念がぐらつき、強いてはモロ首相を暗殺するという決定に疑問を持ち始めてくる。

キアラがモロ首相を解放させてあげたいと思うようになってからはサスペンス色も濃くなる。
彼女の空想を映像で見せ、キアラとモロ首相の心理を見事に弄びながら進める脚本も素晴しい。

本作は 始まりと終わりはテロ集団の行為に違いないが(それもオブラートに包んでテロ映画にしていないけれど・・シツコイか)
それ以外は人間の心理ドラマとして観客の心を掴んで離さない。


キアラが図書館で知り合った青年は「夜よ、こんにちは」というタイトルで本を書いているのだが
その内容と本作の筋書きとを巧みにシンクロさせている部分には正直やられる。私はここが一番サスペンスだったな〜。
ちょっとひっかかる部分でもあり、もう一度その深いところを確かめてみようと思う。

評者

ドンペリ

更新日時

2007年01月25日 01時20分

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2021年12月07日 04時53
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