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それでもボクはやってない/ドンペリのコメント

rating33.7500

それでもボクはやってないへのコメント

採点

rating4

推薦数

+2

コメント

お見事! この映画に漲る力強さはなんだろう。
色白で痩せっぽちで一見‘もやし’(愛を込めています)のような周防監督って、男らしいじゃん!

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

まずは「見て良かった」と言える映画です。
ラストの判決は この映画的にアレで良いのだと思う。


どんどん引き込まれていき、2時間半(143分)、息を呑む判決まで、あっという間です。
始め、主人公の加瀬君の演技がなんだか頼りない感じがしていたのも束の間、
(これがかえっていいのね)私たちは、すぐに彼の応援団になってしまうのです。
それにしても役所広司は、ほんとに巧い!

見ていくと、「痴漢の冤罪」問題ではなく
日本の警察や裁判そのものをばっさり切っているのですね。

「無罪判決を出すと裁判官の出世にひびく」、
「こなした裁判件数も大事」など、はっきり言っている。

真っ向勝負、の映画であり、実に潔い。
巧いと思うのは、重い・暗い映画になっていないこと。じめじめしていないこと。

監督の姿勢がはっきりしているので、見ていて気持ちが良いのだ。
これですよこれ。こういう題材の場合は
ターゲットをはっきりさせて「やるならやりなさい」くらいの覚悟で
作ってくれないと、言いたいことが直球で伝わりませんからね。


そもそも裁判とは何ぞやという問題にまで掘り下げていき、
あまりにも裁判に無関心な(一般の)私たちに様々な情報を提示し、
考えさせてくれるようになっている。
それらは彼(加瀬君)が初めて留置所なるところに入れられ、
同房のオカマさんに「弁護士を頼めるのだよ」と教えられるところから
すでに始まっているのだ・・・。


本作が巧いのは、痴漢行為の疑いで逮捕された映画なのが、
観るものに他人事ではない、むしろ私事になってくるところである。
冤罪は誰にでも起こりうる、という問題にきちんと移行していくのだ。
なので痴漢の被害者になり得る女性がみても、加瀬君の気持ちになり
「明日はわが身(冤罪される)」という恐怖が膨れ上がってくるのである。
あれよあれよのうちに逮捕され、拘留され、尋問され、
自分の言ったことと違う調書にサインをさせられ・・(続く)・・
場面ごとに、細部にわたる描写は抜かりが無いのだ
それ故、変な言い方だが勉強になるし
「当然知っているべきですよ」と監督に言われているようだ。

そして裁判の盲点を改めて思い知ることになる。
証拠がなければ、犯人になってしまうことだ。
私を含め裁判に縁がない人の方がほとんどだと思うが、
私たちは知る権利よりも 知っておく義務があると痛感した。

特に痴漢の冤罪の場合、後から真犯人を探すことはまず不可能。
この場合、今までに何度も痴漢にあったことがあるという女の子の
前の位置に偶然飛び乗ってしまったことが、運が悪かったとしか
言いようがないが、やってないものが前科者にされたらたまらない。
こんなこと(冤罪)許せますか、という映画だ。

お断りしておくが、
痴漢された中学生の女の子を決して責めていないのも巧みだと思う。

評者

ドンペリ

更新日時

2007年08月24日 23時30分

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