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ブラッド・ワーク/hackerのコメント

rating44.0000

ブラッド・ワークへのコメント

採点

rating5

コメント

本作は、クリント・イーストウッドが、マイケル・コナリーの『わが心臓の痛み』を、監督・制作・主演の三役で映画化したものです。実は、犯罪の背景や動機は同じですが、犯人は同じではありませんし、全体の印象は原作と映画とでは相当違います。

レビュー

原作は、2年間待った心臓移植を受け回復期にある、FBIで連続殺人犯(原題 ‘Blood Work’の意味)を担当していた元捜査官テリー・マッケレイブ(クリント・イーストウッド)が、住居として利用している、父親の残したヨットに、グラシエラ・リヴァーズいう女性が訪ねてきて、「殺された妹グロリアの捜査をしてほしい」と依頼する場面から始まります。当然断ったマッケレイブですが、「あなたの心臓は死んだ妹のものだったのよ」と言われ、さすがに動揺します。担当医フォックス博士(アンジェリカ・ヒューストン)からは、運動やストレスのかかる作業(車の運転すら)を禁止されているマッケレイブでしたが、旧知の伝手を使って調べていくと、一見コンビニ店の強盗殺人に捲きこまれて殺されたように思えるグロリアが、実は最初から彼女の殺害が目的だったように思えてきます。さらに、彼女の前に、同一犯と思われるATMでの強盗殺人があったことも分かります。まったく接点のなかった二人の犠牲者の共通点とは何だったか、また動機は何だったのでしょうか。

基本的に、犯罪の動機及び犯人の解明というミステリーではありますし、この動機自体もちょっと例を見ないもので、印象に残ります。ただ、この原作に対し、イーストウッドは、犯罪の背景や動機は同じものの、犯人を変えるという変更と、冒頭にマッケレイブが病に倒れる前に係わっていた事件の描写を加え、ミステリーの要素は残しつつも、「悪がなければ善は存在しえない、善がなければ悪は存在しえない」という、後にクリストファー・ノーラン監督が、ヒース・レジャー演じたジョーカーを通じて『ダーク・ナイト』(2008年)で展開したテーマを中心に据えた、いわば別物として仕上げています。

ミステリーの映画化で犯人を変えるようなことは普通しないものですし、イーストウッドの視点を詳しく語るとネタバレにつながりますので、これ以上述べません。ただ、この原作と映画とを比較した場合、文字の世界と映像の世界を比較して優劣をつけるのは無意味ではあるものの、イーストウッド監督の終生のテーマである「人を殺すことの重み」へのこだわりも含めて、映画の方が私の好みではあります。

イーストウッドは、やはりただ者ではありません。

評者

hacker

更新日時

2018年01月21日 09時36分

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