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丹下左膳餘話 百萬両の壺/ゴロにゃ〜ゴ伯爵のコメント

rating44.6000

丹下左膳餘話 百萬両の壺へのコメント

採点

rating4

推薦数

+1

コメント

さぁ、山中貞雄をパクりなさい。

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

省略による笑いという手法は単に面白いだけじゃなく、湿っぽい人情話に偏るのを回避している。山中がアメリカ映画から影響をうけてることは、知ってる人も多いが、それが人情話を日本的に成り過ぎない事に寄与してると思う。源三郎と萩野との間に愛がないとは言えないように撮ってるし、浮気相手との関係もドロドロになるまで描写していないところが山中貞雄を山中貞雄たらしめている。更に、前半は感情を吐露させる場面を省略してテンポをよくし、後半のお餅シーンで一気にパッと魅せるところは心憎い演出である。
源三郎が妻である萩野と別れるのが寂しいと言いながら、本心では浮気相手との会話を楽しみにしているのと反対に、丹下左膳はお藤と事あるごとに言動では反目しながら一緒にいる。この対比がこの物語の構造の基礎を成している。その間に壺と子どもを巻き込んで物語を展開していく話。結局、お金の事はどっかにいって、壺が結び付けた縁が残り、変わらない日常がまた始まる事を景品だったダルマの向きを変え、また元に戻すというちょい安の行為の繰り返しで表している。

最後、萩野は源三郎の剣の強さを誤解して、誇らしげになってるところなんて可愛い(* ̄∇ ̄*) 。この物語が終わって暫く経ってから、萩野の疑いを誤魔化すために、源三郎の道場で丹下左膳が萩野のためにまた負けてあげる姿が目に浮かぶ(笑)。

黒澤明のリメイクもいいんだけど、リメイクという狭い範囲ではなく、王道行くなら山中貞雄をもっと真似していいと思う。ここまでベタにやって確実に笑いを取り更に魅せる人って中々いないが、黒澤や小津らの真似より困難だとは思えない。そもそも小津安二郎は真似するにはあまり適さない(笑)。溝口も成瀬もちょっとずれる。王道行くなら山中しかいないと私は確信してる。
例えば、今は泣かせ系の映画が流行ってるけど、その中に笑いを上手く取り込んでいる作品がどれ程あるのか、といったらほとんど皆無に近いじゃなかろうか。笑いと涙の組み合わせは最強だと思うけど、商業主義の映画が何故取り入れないのか。映像は別格として置いとくとしても、今なお応用出来る部分は多分に含まれているはずだ。ただ客が入ればいいという悪しき商業主義は否定すべきだが、映画は商業主義を抜きにはここまで大規模のまま存在し得ない。客を満足させるに足りる真摯な商業主義は否定すべきではないと思う。

さぁ、山中貞雄をパクりなさい。

更新日時

2008年02月03日 14時10分

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