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ファイトクラブ/dreamerのコメント

rating33.5128

ファイトクラブへのコメント

採点

rating4

推薦数

+1

コメント

「セブン」で世界中を震撼させたデヴィッド・フィンチャー監督とブラッド・ピットのコンビが、再びタッグを組んで世に放った超カルト映画の傑作「ファイト・クラブ」

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

「セブン」で世界中を震撼させたデヴィッド・フィンチャー監督とブラッド・ピットのコンビが、再びタッグを組んで世に放った超カルト映画の傑作が、この映画「ファイト・クラブ」だ。

世紀末の現代社会を反映させた反社会的な題材は、ハッキリと好き嫌いが分かれるところであろうが、この映画が持つ凄まじいまでのパワーは、体感しておいて損はないと思う。

デヴィッド・フィンチャー監督のマニアックな作風を、強引にも大衆路線に乗せてしまうのは、この漲るパワーに依るところが大きいと思う。

タイトルバック。突如として現われる灰色の世界。「何だ、これは!?」と思う間もなく、カメラは猛烈な勢いで疾走していく。

やがて、それは脳細胞というミクロの世界だと気付く。
そして、カメラは皮膚の外へはじき出され、銃身の上を往復し、銃口をくわえさせられた男の口元で静止する。

そして、男が語るモノローグへ----。
もう、この脳天を撃ち抜かれたような衝撃のデシダル映像に、早くも心は釘付けだ。

このように、デヴィッド・フィンチャー監督は、いつも奇抜で実験性に富んだ映像世界を見せてくれるが、この映画は、ストーリー、役者の演技の全てにおいて重量感があり、決して映像だけで語られるような作品ではないと思う。

このストーリーの鍵となるのは、「破壊」という行為だ。
現代のカリスマ、タイラー(ブラッド・ピット)は、「全てを失って初めて、自由が得られる。
苦痛や暴力こそが精神浄化の近道」だと説く、「破壊の哲学」の持ち主だ。

生きる目的を見失い、物欲に溺れるジャック(エドワード・ノートン)が、次第にタイラーの考え方の虜になっていく過程が、この映画の見どころになっている。

ジャックは、タイラーとの1対1の殴り合いで生じる痛みによって、生の感覚を取り戻していく。
肉体の破壊から精神の破壊へと進み、邪悪さを増していく様は、まるで白いキャンバスが真っ黒に染まっていくようである。

このあまりにも過激な彼らの行動は、既成の自分を破壊し、新しい自分に生まれ変わることの困難さを物語っているのだ。

やがて、彼らの行為は、同じように自己解放を求める男たちを惹き付け、地下組織「ファイト・クラブ」の結成に至る。
そして、遂には集団テロ行動へと発展していくのだ------。

更に、終盤にはジャックが追いかけるタイラーの足跡は、実は自分の内部で起きていることであったという、驚愕のオチが用意されているのだ。
そして、最終的に、ジャックはそんな自分を再び破壊しなければならないのだ。

映画でも古くから取り上げられてきた"精神分裂"や"二重人格"といった題材を、こうした形で取り込んだアイディアは、実に面白い。

ただ、一つ惜しいのは、ヘレナ・ボナム・カーター演じるヒロイン、マーラの中途半端な描かれ方だ。
彼女は、ジャックとタイラーという二人の男の中間に位置するキャラクターのはずだ。

現実と悪夢の狭間を彷徨うようなこの映画にあって、唯一のリアルな存在であり、建設的な存在とも言える重要なキャラクターなのだ。

刺激的な内容に疲れ切った観る者の多くは、彼女の母性に救いを求めるはずなのだ。
そして、彼女はそれを背負って立てるだけの存在でなければならなかったはずなのだ。

そして、タイラーが売り歩く人間の捨てられた体脂肪で作られた石鹸は、現代社会の"堕落と腐敗のシンボル"だ。

誰しもが潜在的に抱える"怠惰な日常からの解放欲"を、鋭くえぐり出した挑発的な内容には、不思議と理屈を超えて魅いられずにはいられない。

スタンリー・キューブリック監督へのオマージュとも思わせる皮肉めいた狂気の描写も、実に印象的だ。

噂のサブリミナル・ショットは、蛇足の感もあるが、お遊びとしては楽しめると思う。

評者

dreamer

更新日時

2021年05月15日 00時35分

コメントの推薦

参考になる 2021-05-16
hacker2
2021年11月28日 09時24
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