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トゥルー・クライム/hackerのコメント

rating44.3333

トゥルー・クライムへのコメント

採点

rating4

推薦数

+1

コメント

完成度という点では不満もありますが、『ミリオンダラー・ベイビー』同様、ハリウッドの枠組みの中で、こういう映画を作ったクリント・イーストウッドに敬意を表します。題名は、冤罪により人を死刑にすること、及び、偏見と思い込みにより人を犯罪者にすることを指しています。

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

冤罪による死刑囚の最後の一日を追いながら、同僚の事故死の結果、偶然事件を担当することになり、死刑囚が無罪であることを確信した新聞記者(クリント・イーストウッド)が、真相を突き止めようと奔走する姿を描いた作品です。その過程で浮かび上がってくるのは、一度確定した判決に対する人々の偏見であり、死刑囚の家族との別れの描写通じて、死刑もまた殺人であることを、静かな怒りをもって訴えています。同時に、白人の妊婦を射殺したのが黒人であるということに対する、白人側の偏見を間接的に描いていますが、それにとどまらず、黒人に対する偏見を、もう一つの軸として取り上げていると言っても良いでしょう。

例えば、女好きでチェーンスモーカー(しかし、カット割でごまかしていて、イーストウッドは一度も煙を吸い込んでいないのはご愛嬌ですが)の主人公は、白人社会からもドロップアウトしそうになっている状況ゆえに、白人社会の偏見とは無縁のように見えても、真犯人の黒人の少年の祖母に会った時、「彼はドラッグをやっていたか?拳銃を持っていたか」と質問し、「ええ、この辺りの黒人少年は、みんなヤクをやっているし、銃を持っているわよ」と反駁されて、愕然とするのです。

イーストウッドという人は、自作の『アイガー・サンクション』で、恐らくハリウッドの白人スターとしては初めて、黒人女性とベッドインしたり、自作品でのモーガン・フリーマンの扱いを見ていると、人種偏見に対しては、はっきりとした主張があるように思えます。それのみならず、『ミスティック・リバー』などを観ても、偏見というもの全般に対して、静かな怒りを燃やしているようです。それが、近年の彼の作品に厚みを添えている結果となっているのでしょう。

この作品は、最後に、真犯人の祖母があっさりと孫の罪を認めたり、お定まりのカーチェイスが出てきたりして、全体のトーンを崩しているのが残念ですが、そこに至るまでの、死刑という名の殺人の準備の克明なプロセスの描き方は非凡です。特に、妻子と過ごす最後の時間の描き方は、涙なしには観られませんでした。これも、イーストウッド監督の後世に残る一本でしょう。

評者

hacker

更新日時

2006年11月03日 20時45分

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