+2
(★3+)
映像も音楽も一見凝った印象ではないのに、犯人がわかるまでは息をひそめるようにして見た。
ということは、実は計算が働いているということなんだろーな。 〔スクリーン×1〕
このレビューは物語の核心部分が明かされています。
照明が良かった。映画館のシートに座っていながら、同じ飛行機の中に居るような感じダ。
音にもその狙いがあって、せっかくTHX(ルーカス・フィルムによる音響測定に合格した劇場だけに
与えられる認証)での鑑賞だったけど、こちらは私には煩わしかった。
でも、作り手の「巻き込んでやるぅ」な思惑は成功している!
巻き込むと言えば、ジョディー・フォスターの引力が凄い。
彼女のリードで周りの演技も引き出されていくのだけれど、全ての中心が彼女である作品。
まず、もともとシンプルな飛行機内部を、なお色彩やフレーム内配置に気を配り、
そのシンプルさを壊さない配慮をしている。 さらに飛行機の丸みをおびた形を印象的に背景したり。
結果、丸みをおびた閉塞空間(ストーリーを包み込むように存在している) の中心に、
ジョディーの無我夢中風な強力演技があって…まるで、大きなボールの真ん中に位置したジョディーの周りが
渦を巻いているみたい。
これから映画館でご覧になるならば、ぼわっと包まれて、ぐる〜っと引っ張られて、確かめてくだされ〜。
それにしてもコレ、単なる密室サスペンスアクションのようでかなりデリケートかも…。
偶然が重ならなければ成り立たない犯罪。“ざる”状態で説明不足の成り行き。 あえてそれを選んだかのよう。
「もし、よく出来たからくりであったなら、テロ犯罪の手本になってしまうんだよ」…と私には聞こえてくるんょ。
そんなことを考えると、今まで「それはないでしょ?!」とツッコミながら見ていた多くの映画も、
そもそも完全犯罪であってはいけなかったのだ、みんなあえてどこか外していたのか?と、
ヘンに納得してみたり…。 ともかく一気に見せてくれた前半は巧い。
振り返ってみると…
■小さな娘には、眠らせ続けることで1つも怖い思いをさせていない。
■最後、アラブ系の男性に謝罪しない。
■監督(他数人?のスタッフ)がドイツ人。 など、
“世界に君臨しているはずがテロを受けた”アメリカのテロリスト犯罪映画だけあって繊細で微妙。
この作品のテーマはそんなところには無いけれど、アメリカの傷口の深さを感じずにはいられない。
それに、あのジョディー・フォスター数年ぶりの主演なのに、つい数年前のパニック・ルームと
似たような役を演じるなんて、底の浅い作品だとは考えにくい…。かいかぶり過ぎ??
[以下2007/3/13追記]
メモφ(..) 〜HPプロダクションノートより抜粋〜
巨大旅客機(舞台設定:ベルリン発ニューヨーク行きのアルト航空E−474機内)セットについて
監督談⇒「長時間フライトは水中にいる感覚とやや似ている。静寂の中、何もかもが時間を超越しているような。その夢のような感覚を表現したかった。」
次世代型飛行機のコンセプト⇒親近感を与えつつ、かつ今まで目にしたことがなく、それでいて架空のものと感じさせない形態。
撮影の工夫⇒座席間の通路で大型重量カメラが移動するにはスペースの問題があったが、機内上部にレールをはわせ、そこをカメラ搭載タイヤ付きドリーを移動させて撮影した。
2006年02月02日 13時21分
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2006-02-02 |
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2006-01-31 |