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バニシング・ポイント/hackerのコメント

rating44.0000

バニシング・ポイントへのコメント

採点

rating5

推薦数

+3

コメント

私が学生の頃、学園祭で『明日に向って撃て』と『冒険者たち』とこの作品を、1本100円で上映したことがあり、講堂に入りきれなかったぐらい大盛況だったのがなつかしい思い出です。

レビュー

この3本の映画の主人公たちは、皆社会からドロップ・アウトした人間たちで、見果てぬ「夢」を追い求めるという共通点がありました。この映画の主人公コワルスキーの「夢」は果てしの無いスピードだったのでしょうか。

車の運送で生計をたてている主人公が、デンバーからカルフォルニアまで15時間で到達するという友人とのささいで無謀な賭けが原因で、スピード違反で追いかけてくるパトカーや白バイを振り切って疾走を続けているうちに、警察にとっても彼を応援する者たちにとっても、単なるスピード違反者以上の者になっていき、彼自身も疾走そのものが生きる目的のようになっていくのですが...。果たして目的地のカルフォルニア、西部の開拓者が最後にたどり着いた地に行くことができるのでしょうか。

現在のふとした出来事から思い出される過去の人生のフラッシュバックが見事な構成で、とりわけ、灼熱の砂漠の真中でサングラスをかけた瞬間、雪中のジープの中で愛し合う、理由も分からず自殺した、かっての恋人との思い出に飛ぶ切り換えの鮮やかさ!

ほとんど台詞がなく、表情も変えない主人公を演じたバリー・ニューマンの頑固さと虚無感の漂う雰囲気がとても好きです。主人公の姓はコワルスキーなのですが、名前が不明というのも、'Name unknown'と劇中で警察が無線連絡で言うように、実際には名無しなのです。ただ、東欧系の移民であること、かつ主人公の風貌が見るからにユダヤ人であることから、プア・ジューイッシュを代表する人物のように思います。

この主人公を含め、彼に力を貸すのが、盲目の(=障碍者の)黒人ディスク・ジョッキーのスーパーソウル、砂漠を独りで彷徨う老人、そしてヒッピーたち、という当時のアメリカで弱者であった者ばかりという構造が、この作品全体の基調を表しています。

また全編に流れるロックが名曲と呼ぶに値するものばかりで、当時のアメリカ音楽界の水準の高さがうかがえます、特にラスト・シーンで流れる「Nobody Knows」は、リズムといい、歌詞といい、忘れられない印象を残します。

Who's going to testify for me when I'm dying
Nobody knows
Nobody sees
Till the last line stop turning
Till another soul goes free

この時代の雰囲気を感じさせる作品であるのですが、それにとどまらず、永久に生き残るべき映画だと思います。

評者

hacker

更新日時

2017年01月09日 12時31分

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