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キャバレー/dreamerのコメント

rating44.5000

キャバレーへのコメント

採点

rating5

推薦数

+1

コメント

退廃的なキャバレーのショーの陶酔感と、時代を見る透徹して、醒めた映像作家の眼「キャバレー」

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

映画「キャバレー」は、1972年度の第45回アカデミー賞にて「ゴッドファーザー」という強力なライバルを制して主要8部門に輝いた名作です。

最優秀監督賞(ボブ・フォッシー)、最優秀主演女優賞(ライザ・ミネリ)、最優秀助演男優賞(ジョエル・グレイ)、最優秀撮影賞(ジェフリー・アンスワース)、その他、最優秀美術賞・編集賞・編曲賞・録音賞を受賞しています。

また、同年のゴールデン・グローブ賞のミュージカル/コメディ部門の最優秀監督賞(ボフ・フォッシー)と最優秀主演女優賞(ライザ・ミネリ)、最優秀助演男優賞(ジョエル・グレイ)を受賞しており、ジョエル・グレイは同年のニューヨーク映画批評家協会の最優秀助演男優賞も受賞と、その年の映画賞を総なめにしています。

そしてジョエル・グレイは、ブロードウェイの舞台でも、映画と同じ司会者の演技でトニー賞の最優秀助演男優賞も受賞しています。

この映画「キャバレー」は、原作がイギリスのクリストファー・イシャーウッドの「ベルリン日記」で、ベルリンでのナチス台頭期の人々を冷徹に見つめたドキュメント・タッチの小説を基にしています。

1930年代初頭のベルリンは、左右勢力の対立、インフレと社会不安の中、ファシズムの暗雲漂う政治状況に背を向け、デカダンス的な生活を追い求める人々の姿が風刺的に描かれ、その背後にひたひたと忍び寄って来る、ナチスの足音を不気味に再現しています。

そのデカダンスと倦怠のムードに包まれた時代に生きた、一群の人々の悲哀を描き、ミュージカルの場面とドラマの場面が巧みに融合され、いかにも退廃的なキャバレーのショーの場面の陶酔感と、時代を見る透徹して、醒めたボブ・フォッシー監督の眼がこの映画を質の高い、ミュージカルと人間ドラマの融合した優れた映画にしていると思います。

もちろん、この映画でブレイクし大スターとなったライザ・ミネリのあけっぴろげで、向日葵のように底抜けに明るいサリーという歌姫のヒロイン像。

司会者役のジョエル・グレイの見せる、スタンダップ・コメディアン的な悪魔的とも言える、風刺と皮肉を駆使した本物の芸のうまさも忘れられない映画です。

歌とダンスのミュージカルがジョエル・グレイの司会で、並行するドラマの進行と混然一体となり、舞台から映画への拡がりに成功していると思います。

その画面は、撮影の名手ジェフリー・アンスワースの感覚的で官能的なカメラの眼によって、優れて絵画的なものになっていて、痺れるような陶酔感を味わえます。

タイトル・バックの凹凸のある模様ガラスを通して見える客席は、映画のラストシーンにも再び現われて、場内のざわめきを我々観る者に伝えますが、そのボブ・フォッシー監督の画家的な感覚には、"時代と社会に対する痛烈な風刺と批判"が込められているように思います。

そして"客席の中にいるナチスのカーキ色の制服が、その時代の暗さを象徴する不気味な感じ"をよく表現していて、見事なラストであったと思います。

ボブ・フォッシー監督は、この映画の製作意図を「映画の可能性は無限であると思う。
限界があるのは監督の頭である。私は今迄、欲求不満の画家といった存在であった。
カメラが初めて私に多少"絵を描く"チャンスを与えてくれた。
----ダンスは環境、雰囲気、特定の場所、そして人物の性格を示すべきである」と語っています。

この映画の主人公の歌姫サリーを圧倒的な存在感と、そのダイナミックで情感溢れる歌声で我々観る者を魅了したライザ・ミネリは、「巴里のアメリカ人」、「恋の手ほどき」等の名匠ヴィンセント・ミネリ監督と大歌手のジュディー・ガーランドを両親に持ち、すれっからしと純情が紙一重のサリーというキャバレーの歌姫を心憎い程、見事に演じ切り、その大きな瞳と張りのある素敵な歌声は、鮮烈でまさにスター誕生そのものでした。

"人生はキャバレーそのもの----"と歌うサリーの歌には、芸人の儚い一途な自由への叫びが込められていて、何度聴いても魂を震わせ、心の襞に染み込む名曲として、私の脳裏に焼き付いて離れません。

ライザ・ミネリが、アカデミー賞の授賞式で「これは亡き母の生涯の夢でした。
今、私は母が果たせなかった夢を満たしたのです。
このオスカーは母のものです」と語っていて、彼女の母ジュディー・ガーランドに対する思い、愛情の深さを知る事が出来ます。

評者

dreamer

更新日時

2021年03月05日 13時58分

コメントの推薦

読んで楽しい hackerといいます。 これも懐かしい映画です。ライザ・ミネリの印象が強烈でしたね。 2021-03-05
hacker2
2021年11月28日 09時34
2021年11月28日 09時34
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