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暗殺の森/dreamerのコメント

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暗殺の森へのコメント

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rating5

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ファシズムが台頭した1928年から、崩壊寸前の1943年までのパリとローマを舞台に、反ファシストの教授暗殺の指令を受けたインテリの"体制順応主義者"(映画の原題)の姿を描いた、優れて"政治と人間"に関するドラマ

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

若い哲学講師のマルチェロ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は、13歳の時、彼を犯そうとした同性愛の男をピストルで射殺し、それ以来、罪の意識に悩んでいた。

そして、少年時代の悪夢から逃れるため、彼はファシストとなり、哲学を学び、プチ・ブル娘ジュリア(ステファニア・サンドレッリ)と結婚する。

彼はファシスト党から、反ファシストの教授の暗殺を命じられるが、教授の妻アンナ(ドミニク・サンダ)に心惹かれ、暗殺遂行を躊躇するのだった------。

「ラストエンペラー」で世界の映画界に改めてその実力を見せつけたベルナルド・ベルトルッチ監督の、この映画「暗殺の森」は、彼の29歳の時の作品だ。

ベルトルッチ監督は、1962年に若干21歳の若さで処女作「殺し」を発表、その鋭い感性は、イタリア映画界に衝撃を与えたのです。

そして、その後も「革命前夜」「暗殺のオペラ」を発表して実績を重ね、それを武器に「暗殺の森」に十分な予算とスケジュールを得て取り組んだのです。

若手監督にとっては予算とスケジュールの制約は、必ず付きまとう問題だが、ベルトルッチ監督は、それから解放され、一シーン、一シーンが、胸躍る官能的な魅力に満ちた作品に仕立て上げていると思う。

この映画「暗殺の森」は、ファシズムが台頭した1928年から、崩壊寸前の1943年までのパリとローマを舞台に、反ファシストの教授暗殺の指令を受けたインテリの"体制順応主義者"(映画の原題)の姿を描いた、優れて"政治と人間"に関するドラマなのです。

原作は、現代文学の旗手と言われたアルベルト・モラヴィアの「孤独な青年」で、1970年代のネオ・ファシスト台頭期に作られている点が、この映画をより重層的にしていると思う。

ベルトルッチ監督の作品には、その後も「1900年」ではドナルド・サザーランドが、「ラストエンペラー」では坂本龍一が演じたファシストが登場しているが、もちろん、それらを肯定的な存在として描いているわけではない。

しかし、彼らが、退廃的な魅力を湛えている点が、ベルトルッチ監督の凄さ、映画作家としての懐の深さなのだ。

また、この映画は、映画ファン気質に溢れる映画作家が作った映画であるというのも、忘れられない点だ。

教授が森で暗殺されるクレーン・ショットの見事さ。
まるで5メートルの巨人の目が捉えているようなカメラ・アングルなのだ。

このシーンを観ながら、ベルトルッチ監が敬愛してやまない溝口健二やオーソン・ウェルズ、マックス・オフェルスなどの監督の映画に思いをめぐらしながら、改めて彼らの映画を観直すのもいいかも知れない。

とにかく、この映画は全編に渡って、華麗にして官能的な映像にあふれていて、特にダンスホールのシーンや雪に覆われた森での暗殺シーンには陶酔してしまった。

映画は、いくら監督に才能があってもいい映画が出来るとは限らない。
当然のことながら、何といってもいい俳優がいなければ、成り立たないものです。

その点でも「暗殺の森」は申し分がない映画だと言える。
幼児の悪夢から逃れられず、熱狂的なファシストになる青年に、フランスを代表する超個性派俳優のジャン=ルイ・トランティニャンが扮し、退廃的な翳りと虚無を湛えた演技を披露し、その妻に扮したステファニア・サンドレッリの、どこか崩れたような美しさも印象的だったと思う。

評者

dreamer

更新日時

2021年05月30日 07時30分

コメントの推薦

参考になる 2021-05-31
hacker2
2021年11月28日 08時25
2021年11月28日 08時25
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