この映画を最初に観たのは高校生の時ですが、その頃に、これを理解しろと言っても無理ですよね。
トリュフォーの長編第三作は、彼の20代最後の作品でもあります。恋愛に対して自由奔放なカトリーヌ(ジャンヌ・モロー)という女性を中心とした、オーストリア人ジュール(オスカー・ウェルナー)とフランス人ジム(アンリ・セール)の、第一次世界大戦を挟んだ友情と愛情の物語です。
しかし、自由に動きまわるカメラといい、俳優の生き生きした演技といい、突拍子もないようでいて流れに乗っている音楽といい、なんと若々しい映画なのでしょう。これこそヌーヴェル・ヴァーグであり、その精神が永遠にフィルムに焼きつけられていることに、この歳になると、感動を覚えます。
その精神を代弁するかのように、動きまわり、感情の起伏の激しい女性を演じるジャンヌ・モローが魅力的なこと!「けっして美人ではないが、女そのものだ」という台詞が作中にありますが、まさにその通りです。彼女が作中で歌う『つむじ風』は、この映画を観た人なら絶対忘れることはないでしょう。
トリュフォーが敬愛する原作者アンリ=ピエール・ロシェによると、彼女が演じたカトリーヌにはモデルがいるそうですが、この作家もトリュフォーがいなかったら、とうに忘れられていた作家なのかもしれません。
また、今回再見して気づいたのは、ナチスの焚書の場面をニュース映画として流していることで、後に映画化することになる『華氏451』の主題が既に表れていることです。トリュフォーの映画はどれもそうですが、書物に対する深い愛情も感じられます。
この作品も、トリュフォーの代表作の一つですね。
2017年01月03日 11時26分
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