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パッション/カトキチのコメント

rating33.5789

パッションへのコメント

採点

rating3

推薦数

+2

コメント

イエス様はユダヤ人を許したかもしれないけど、メルギブは許してないよね?

レビュー

カトリック原理主義者として家の近くにオレ様教会まで持つメルギブソンが私財を投げ打って完成させたイエスキリストの拷問映画。ストーリーは何も無し、とにかく拷問されるだけの映画。メルギブソンの思想、メルギブソンが思うイエス像、それが全面に出た映画だ。監督として、そして一個人として、この映画の出来には満足したはずだし、自分が思う映像も作れてさぞやご満悦だろう。さらにそれで金まで設けられたのだから言う事無しなはずだ。

まずメル・ギブソンは監督として素晴しい才能の持ち主だと断言しておこう。金のかけ方も間違ってないし、キューブリックやレオーネばりの絵画的でリアルな絵をしっかりと描いている。手のひらに釘を打つというのは違ってるものの(手のひらに刺すと釘が抜けちゃうので、普通は手首に刺すのよん、まぁそれ以前にこの映画はイエスキリストが白人であるという部分からして間違いまくってるのだが、それはここに書こうhttp://blog.livedoor.jp/dontakukatokiti/archives/50128640.html、だからこのレビューはあくまで映画『パッション』に対する私の感想と言う事で)手のひらに打つ“絵”を見せたいがために、わざわざ映像化してる部分も監督としてのこだわりらしくていい。

じゃあ、この映画は映画としておもしろかったかと言われれば、私はNOだ。この映画が説明される文章でよく目につくものは「2時間キリストが拷問される映画」なのだが、実はそうでもない。始まって30分はキリストが捕まるところをダラダラやってるし、殴られるシーンがあるものの、50分までは「イエスを死刑にしろ!」と騒いでるだけで、実質ここまではイエスキリストが「どのように捕まって、どのような経緯で拷問を受ける事になったか」を中心に描いている。もちろんこれは始まりにすぎない。

だが、52分からはまさにイエスキリストの受難を我々も疑似体験する。ムチで叩かれ、殴られ、イバラの冠をつけられ、十字架を背負って歩かされ、さらに手足を釘で打たれ、それでもイエスは許し、復活する。その拷問シーンはいろんなメディアで言われてるとおりの出来。特に釣り針がついた様なムチでひっぱたくところなんかは肉が裂けてそこから血が吹き出すところをしっかりとワンカットで見せてて感動した。

スピルバーグは戦争映画を撮るのに戦場だけを徹底して描いたが、戦争映画の方法論として極めて正しかった。それをもっと徹底したのが『ブラックホーク・ダウン』リドリースコットはただあった事を淡々と書いている。日本にも『子連れ狼・三途の川の乳母車』という人が斬り殺されるだけの映画もある。『パッション』もたしかに拷問映画としては2時間の内ほとんどをそれに費やしてるから間違ってはない、だが、じゃあそれが映画としておもしろいか?と言われると違う。

『パッション』は“映画”としてはかなりイビツな印象だ。個人的には拷問映画に徹して欲しかった。拷問の途中で聖書に書かれるエピソードが幾度となく挿入されるのだが、それがテンポを一気に急落させる。だが、これは個人的嗜好の違いで間違いではない。あれを入れる事でより一層深く物語を知る事が出来たと言ってる人もいるくらいだ。私はやはり90分で拷問されて終わりがよかった。正直、聖書を全部読み込んでる人じゃないとこの映画は絶対に理解出来ない。もっと言えばキリスト教の信者でなければ、この映画には絶対に共感出来ない。

さらに『パッション』は反ユダヤの思想が全編を貫いている。イエスキリスト一族以外のユダヤ人は醜く、ブサイクばっかり。徹底した悪者だ。完全にメルギブソンの思想である。「イエス様は許したかもしれねぇけど、オレはゆるさねぇ!」というさすがカトリック原理主義な思想なのだ。

宗教上の自己犠牲や苦行は一種の快楽であって、『パッション』を撮ってるメルギブソンにしてみればもう精神的な快楽状態で、脳から変な物質がたくさん出てるわけ。だから徹底して拷問シーンを撮った。なのでドンペリさんが“メルギブは痛いの好き”と言ったのはあながち間違いではない。それで金もがっぽり稼ぎやがって!

思想的には最悪。さらにメルギブの趣味も爆発。映画としてはつまらないけど、拷問シーンはかなり見応えがある。さらにその拷問シーンが全編に散りばめられてるから、なんとも困った作品だ。★★寄りの★★★。

評者

カトキチ

更新日時

2007年03月02日 07時18分

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