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人情紙風船/第三の男のコメント

rating44.5000

人情紙風船へのコメント

採点

rating5

推薦数

+5

コメント

厭世的と評される事が多いが、むしろ名も無き長屋の人々のバイタリティを称えた人間賛歌ではないだろうか。

ネタバレ

このレビューは物語の核心部分が明かされています。

レビュー

長屋の武士の死にかこつけて宴会を開く長屋の人々。不謹慎に見えるが、そこに何事にもくじけない逞しさが感じられる。『太鼓連打』の使い方うまいなあ。

そこからちょっと浮いているのが浪人物の海野と(元)髪結の新三。海野は自分の父親の部下だった毛利という侍に取り入って仕官しようとするが、毛利は相手にする様子はない。新三は勝手に賭場を開いてヤクザに睨まれる。金を借りようと質屋に行くが相手にされない。

海野が毛利からきっぱり訪問を断られる雨の日、新三は質屋の娘を長屋に拉致する。(ここの雨は非常に効果的。)妻が出かけていた海野は毛利がらみの話と聞いてその娘を預り、誘拐の片棒を担ぐ事になる。

ここから、海野が娘を見付けたと言って毛利に取り入り、ハッピーエンドにする事もできたのに、そうしなかったのは何故か。海野(そして毛利)は当時の軍人たちの暗喩ではないのだろうか。

で、最後の場面、冒頭と同じような事件が起きる。確かに悲劇だが、長屋の住人にとっては日常茶飯事なのだ。さながら紙風船が水に流れて行くように。

その最後に至る場面、海野の妻の一連の動き。刃物を取り出し、そっと行灯を消して夫に近付いて行くところはぞくっとする。ここでマイナー(短調)の音楽が流れるのだ。山中貞雄は絵もさることながら、音楽の使い方も天下一品である。

ちなみに海野の妻、その直前まで姉のところに行っている事になっているが、その場所が「向島」というのもポイントだと思う。彼女がほとんど笑わないのも印象的だ。

そんなあれこれの舞台になっている長屋。いつも同じアングルで映り、人々が行き来する長屋。この奥行きのある映像も忘れ難い。長屋も登場人物の1人と言って良いかも知れない。

それと、わずかに(2カット)挿入されている子供たちの笑顔。私が「人間賛歌」だと思う根拠の1つである。

「丹下左膳余話/百万両の壷」や「河内山宗春」ほどわかり易くはなく、最初はあっけに取られたが、後からじわじわ来る作品である。そういう意味では『市民ケーン』よりも『偉大なるアンバーソン家の人々』に印象としては近いかも。

評者

第三の男

更新日時

2006年10月04日 00時40分

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