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山椒大夫/hackerのコメント

rating44.7500

山椒大夫へのコメント

採点

rating5

推薦数

+1

コメント

最良の溝口健二は、常に最高の映画芸術です。

レビュー

あらゆるショットが、とにかく美しいです。ここまでの美意識を持った映画監督は、世界映画史の中でも溝口健二だけだったのではないでしょうか。こういう作品を観ると、ここまで素晴らしい映像を、言葉で語る虚しさを感じます。

テーマ的には、北朝鮮の拉致問題を連想せざるをえないものですが、厨子王の父が言う「人は慈悲の心を持たねば、人ではない」「人と生まれたからには、分け隔てなく幸福になる資格がある」という言葉には胸をうたれます。人間として当然のこの言葉が、いつになっても夢物語のように響くのは、悲しいことです。

今回観直して驚いたのは、こういう人間の不平等の背景には、社会的・政治的理由があることを、きっちり語っていることです。山椒大夫の元を逃げ出した厨子王は、山椒大夫の住んでいる丹後の国主として戻るのですが、奴隷に地獄のような生活を送らせている山椒大夫の荘園は右大臣直轄であるため、国主といえども思いのままにならない状況を見せた上で、前述した父の教えを守るため、また自らが経験した奴隷生活の悲惨さを終わらせるため、山椒大夫を国外追放する厨子王は、せっかく得た地位を辞することを最初から覚悟していましたし、そうせざるをえなかったのです。また、それは個人の反乱であり、社会のシステムを変えない限り、決して継続的なものにはなりえないことは、言うまでもありません。溝口健二に、そういうリアリスト的な側面があることも、忘れてはいけません。

また、俳優陣では、当然かもしれませんが、田中絹代が素晴らしい!冒頭の、子供達と引き離される場面、女郎として売られた佐渡で海を見つめて子供の名を呼ぶ場面、最後に厨子王と会う場面、とても涙なしでは観られません。あとは、香川京子の可愛らしさ!溝口健二映画では、女優が常に主役です。

最後にもう一度、この映画に本当に言葉は虚しいです。是非映画館で観てください。

評者

hacker

更新日時

2013年05月25日 19時55分

コメントの推薦

素晴らしい洞察 白黒なのに、どうしてこんなに映像が美しいのかがずっと謎でした。魔法のように思えました。さざ波の立ってるような海の美しさが特に強烈に印象に残ってます。今気付いたのですが、映像美に気を取られて、話をあまり覚えていませんでした。イギリスで見たと思うので映画館だったはず。前世紀ですが、その時に、なんで日本ではこういうのやってくれないんだろうと思った記憶があります。西鶴一代女もフェミニスト映画の一環で見たような(ヘンテコな英字幕覚えてます) 2013-05-26
おれんか
2021年11月28日 11時00
2021年11月28日 11時00
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