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ブレード/刀/カトキチのコメント

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ブレード/刀へのコメント

採点

rating5

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+2

コメント

『片腕必殺剣』からここまでの傑作に到達するとは!

レビュー

香港映画では定番の復讐、片腕カンフー、ワイヤーアクションを取り込み、愛憎劇に復讐映画のカタルシスまでぶち込んだツイハーク香港時代の傑作武侠映画。彼は昔の武侠映画をリメイクし、ヒットさせて来たが、この映画はまさにその頂点を成す傑作。元ネタはジミー・ウォングの『片腕必殺剣』であるが、独自の映像美学を追求した事により、香港映画のレベルをまた1つアップさせた作品である。

折れた刀に鎖を巻きつけ、片腕で回転しながら切りつけるアクションは今までの香港映画の常識を超える壮絶なもの(どうやって撮ったんだ…)それだけでなくツイハークの美学が今作で爆発。黒澤映画に影響された馬の使い方や宿場の造形、妖艶な照明などの映像美も見もの。レオーネが『ウエスタン』タランティーノが『キル・ビル』北野武が『座頭市』を撮ったように、ツイハークも彼らと同じ様なスタイルでこの『ブレード/刀』を撮っている。つまり、ジャンル映画における詩的で美しい世界の再構築。香港映画の中でも異様な美学と芸術性に彩られ、ストーリーと関係なくアクションシーンを散りばめる事でスピード感を演出、復讐オペラとも言える作品の美しさは言葉では言い表せないほど。血なまぐさいが、『子連れ狼』などの作品群を思い起こさせる世界観である。

チウ・マンチェク演じる主人公の動きがとにかくすごく。先ほども書いたが、どうやって撮ったのか皆目見当もつかない。アクションだけなら世界で香港映画がダントツ一番だが、この作品はその香港映画の中でも屈指のアクションシーンだ。荒々しいタッチで血や汗の匂いまで伝わってくるほどアクションシーンの演出は激しい。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』の影に隠れて不当に評価が低いが、娯楽性と芸術性が融合した映画の内の一本に挙げていいだろう。

この作品についてタランティーノも
「この映画のなかには実に偉大なアクション映画の伝統が息づいている。これは僕の意見じゃない。まったくの事実なんだ。ツイ・ハークがこの映画のなかで見せようとしたことは、セルジオ・レオーネが西部劇のなかでしようとしたことと同じなんだ。ジャンルにおける美しく詩的な世界を再構築してみせたのさ。でも残念な事に香港の観客はもっとお手軽に満足させてくれるものしか求めていない。こんな芸術的要素の高いものにはついていけなかった。だから、この映画の香港での興行成績はさんざんなものだったんだ。ところで僕は『マトリックス』のキアヌ・リーブスはすごくクールだと思うけど、キアヌの顔をもうちょっと落として、テンションを上げれば、チウ・マンチェクといい勝負になると思うね」
とコメントしているが、まったくもって同意見だ。

この作品の迫力は他の国では見られない。全体的に緩いし、細部まで描き込まれてないので置いてけぼりを喰うかもしれない。特に前半のストーリーの転がし方は意味不明だ、だが、この作品は元ネタである『片腕必殺剣』を完全に越えている気がする。チャンチェ監督の美学と芸術性だけを受け継ぎ、黒澤とレオーネで味付けしたようなもので、とにかくこの作品はおもしろい。何回観ても飽きないくらい、アクションシーンも練りに練られている。クライマックスの決闘シーンは映画史上に残ると断言してもいい。日本では誰も評価してないように思うが、もっと評価されてもいいと思う作品の1つである。

参考資料:プレミア11月号付録。

評者

カトキチ

更新日時

2006年02月20日 06時59分

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