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女と男のいる舗道/hackerのコメント

rating44.6667

女と男のいる舗道へのコメント

採点

rating5

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+1

コメント

原題は「自由気ままに生きる」という意味ですが、ある意味で当時のゴダールの映画作りの姿勢を象徴しているようなタイトルですが、アンナ・カリーナのクローズアップと姿にこだわった映画だったのですね。

レビュー

久しぶりに再見しました。この映画は、ゴダール監督作品としては、最初に感銘を受けたものだったことをよく覚えていて、一種のなつかしさを感じながら見ていました。ただ、今回の鑑賞が今までと大きく違うのは、劇中でアンナ・カリーナ演じるナナが観る映画である、ドライヤーの傑作『裁かるるジャンヌ』(1928年)を今は観ているということです。

『裁かるるジャンヌ』は、映画の最大の武器であるクローズアップを多用、というよりも、苦悩するジャンヌの顔、ジャンヌを糾弾する裁判官たちの顔の短いクローズアップの連続から成っていると言ってもよいような映画でした。しかし、『女と男のいる舗道』を昔観ていた時(何回か観ましたが)、『裁かるるジャンヌ』は観ておらず、その意味において、この映画全体が『裁かるるジャンヌ』へのオマージュとも言えることを、今回実感することができました。実はクローズアップは映画最大の武器であるのですが、乱用するのは決してプラスにはならないのが普通で、『裁かるるジャンヌ』はその意味において例外的な傑作であり、それゆえ映画史に名が残る作品なのです。

ナナという女性が金に困って娼婦になり、最後には殺されてしまうという一種の受難を描いた、この映画でも、アンナ・カリーナのクローズアップが多用されており、『裁かるるジャンヌ』の映画史における意義を再現しようとしたとも言えるのです。ただ、彼女の動きを中心とした長廻しと相まって、結果的に彼女への愛情がフルに表現された映画となっています。アンナ・カリーナがビリヤード台のまわりを、ジュークボックスの音楽に合わせて独りで踊るシーンを、映画ファンならば忘れることはないでしょう。

また、この映画におけるアンナ・カリーナの髪型は、これもサイレント映画の名作『パンドラの箱』(1929年)の奔放な生き方のヒロイン、ルイーズ・ブルックスを模したものは明らかで、ナナが行きずりの哲学者とカフェで話すことの意味を議論する場面などもあって、映画全体が、映画の原点サイレント映画へのオマージュとも解釈できるのかもしれません。

最後の唐突な終わり方、北野武が得意なような「突然の暴力」も、不思議な程豊かな余韻を残してくれます。私にとっても、『ウィークエンド』(1967年)と並ぶ、ゴダールの最高の作品です。

評者

hacker

更新日時

2017年07月17日 16時46分

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